用語集復習

用語集

動画に出てくる 414 語。各語の下のリンクから、その語を説明している動画の章へ飛べます。

#

2.4GHz 帯2.4 GHz band(にーてんよんぎがへるつたい)設計

無線 LAN の周波数帯の 1 つ。チャネルは 5MHz おきに並ぶが、1 つの電波は 20〜22MHz の幅を使うので隣は重なる。22MHz 幅で重ならないのは 1・6・11 の 3 つ。届きやすいが、電子レンジや Bluetooth と同じ帯で干渉を受けやすい。

関連: DFSCSMA/CA

3 ウェイハンドシェイクthree-way handshake(すりーうぇいはんどしぇいく)ネットワーク

TCP で接続を始めるときの 3 回のやり取り。クライアントが SYN、サーバが SYN/ACK、クライアントが ACK を送り、互いの初期シーケンス番号を確かめ合う。接続を終えるときは、双方が FIN を送り合って閉じる。

3-2-1 ルール3-2-1 backup rule(さんにいちるーる)守り方

データのコピーを 3 つ持ち、2 種類の異なる媒体に置き、1 つは別の場所に置くというバックアップの基本。最近はランサムウェアに備え、オフラインや一定期間書き換えできない (イミュータブルな) 形のバックアップも加える。

関連: RPORTO

4 ウェイハンドシェイク4-way handshake(ふぉーうぇいはんどしぇいく)守り方

端末とアクセスポイントが 4 回のやり取りで乱数 (ANonce・SNonce) を交換し、PMK と 2 つの乱数・2 つの MAC アドレスから、この接続だけの鍵 PTK を作る手順。互いに同じ PMK を持つことを確かめ合い、PMK そのものは送らない。

関連: PMKWPA2

802.1QIEEE 802.1Q(はちまるにーてんいちきゅー)設計

VLAN のタグの形を決めた IEEE の規格。イーサネットフレームの送信元 MAC アドレスの後ろに 4 バイトのタグ (TPID 0x8100 と、優先度 3 ビット・DEI 1 ビット・VID 12 ビット) を入れる。VID の 0 と 4095 は予約で、使えるのは 1〜4094。複数の VLAN を 1 本で運ぶポートをトランクと呼ぶ。

関連: VLANVXLAN

802.1XIEEE 802.1X (Port-Based Network Access Control)(はちまるにーてんいちえっくす)守り方

LAN の差し口や無線 LAN で、接続を許す前に利用者や端末を認証する IEEE の規格。サプリカント (端末)、オーセンティケータ (アクセスポイントやスイッチ)、認証サーバ (RADIUS サーバ) の 3 つの役割があり、間で EAP をやり取りする。

A

AESAdvanced Encryption Standard(えーいーえす)暗号・認証

米国 NIST が FIPS 197 で定めた共通鍵のブロック暗号。ブロック長は 128 ビット (16 バイト)、鍵長は 128・192・256 ビットで、変換の回数 (ラウンド数) はそれぞれ 10・12・14 回。現在もっとも広く使われている。

AHAuthentication Header(えーえいち)守り方

IPsec で、改ざん検知と送信元の認証だけを行い、暗号化はしないプロトコル (RFC 4302、IP のプロトコル番号 51)。IP ヘッダの変わらない部分も検証の対象にするので、アドレスを書き換える NAT とは両立しない。

関連: ESPIPsec

ALEAnnualized Loss Expectancy(えーえるいー)守り方

年間の予想損失額。SLE × 年間発生率 (ARO) で求める。SLE 2,000 万円が 2 年に 1 回 (ARO 0.5) なら ALE は年 1,000 万円。対策の前後の ALE の差から対策費を引けば、費用対効果が分かる。

ARPAddress Resolution Protocol(あーぷ)ネットワーク

同じネットワークの中で、IP アドレスから相手の MAC アドレスを調べるプロトコル (RFC 826)。「この IP アドレスの人は?」とブロードキャストで尋ね、持ち主だけがユニキャストで答える。応答が本物か確かめる仕組みがないので、ARP スプーフィングの対象になる。

ARP テーブルARP table(あーぷてーぶる)ネットワーク

ARP で調べた IP アドレスと MAC アドレスの対応を、端末やルータがしばらく覚えておく表 (ARP キャッシュ)。時間がたつと消え、そのときはまた問い合わせる。うその ARP 応答を受け入れると書き換えられてしまう。

ASAutonomous System(えーえす)設計

1 つの方針で経路を管理するネットワークのまとまり (プロバイダや大きな組織)。AS 番号で区別し、元は 16 ビット、今は 32 ビットまで使える (RFC 6793)。AS の中は OSPF など、AS どうしの間は BGP で経路を交換する。64496〜64511 は文書用の AS 番号である (RFC 5398)。

関連: BGPAS_PATH

AS_PATHAS_PATH attribute(えーえすぱす)設計

BGP の経路に付く属性で、経路が通ってきた AS 番号の並び。隣に伝えるたびに自分の AS 番号を先頭に足す。自分の番号が入った経路はループとして捨て、ほかの条件が同じなら AS_PATH が短い経路を選ぶ。

関連: BGPAS

B

BCPBusiness Continuity Plan(びーしーぴー)守り方

災害やシステム障害が起きても、重要な業務を続ける・早く再開するための計画 (事業継続計画)。サイバー攻撃によるシステム停止も前提に、手作業での継続、感染前の清浄なバックアップからの復旧、目標復旧時間などを決めて訓練する。

BGPBorder Gateway Protocol(びーじーぴー)設計

AS どうしの間で経路を交換するパスベクトル型のルーティングプロトコル (BGP-4、RFC 4271)。TCP の 179 番で隣と接続する。経路に通ってきた AS の並び (AS_PATH) を付けてループを防ぎ、ポリシーで経路を選ぶ。インターネットの経路制御を担う。

BPDU ガードBPDU guard(びーぴーでぃーゆーがーど)設計

端末をつなぐポートで STP の制御フレーム (BPDU) を受け取ったら、そのポートを止める設定。利用者が勝手につないだスイッチがループを作ったり、ルートブリッジを乗っ取ったりするのを防ぐ。

C

CBCCipher Block Chaining(しーびーしー)暗号・認証

直前の暗号文ブロック (最初は IV) と平文を XOR してから暗号化する暗号利用モード。同じ平文でも IV が違えば暗号文が変わる。暗号化だけでは改ざんを検知できないため、MAC と組み合わせるか、GCM のような認証付き暗号を使う。

CDNContent Delivery Network(しーでぃーえぬ)設計

利用者の近くのエッジサーバにコンテンツのコピー (キャッシュ) を置き、そこから返す仕組み。応答が速くなり、元のサーバ (オリジン) の負荷も減る。大量のアクセスや DDoS 攻撃をエッジで受け止める役にも立つ。

CERT/CCCERT Coordination Center(さーときーしーしー)事件

米国カーネギーメロン大学ソフトウェア工学研究所にある、脆弱性情報の調整と注意喚起を行う組織。2008 年の DNS キャッシュポイズニングの脆弱性では、複数の開発元と調整して 7 月 8 日に注意喚起を出した。

CISACybersecurity and Infrastructure Security Agency(しさ)守り方

米国の国土安全保障省のサイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁。注意喚起や緊急指令を出し、実際に悪用が確認された脆弱性の一覧 (KEV カタログ) を公開している。SolarWinds や MOVEit の事件でも対応を指示・勧告した。

ClientHelloClientHello(くらいあんとはろー)暗号・認証

TLS のハンドシェイクでクライアントが最初に送るメッセージ。使える暗号スイート、鍵共有の値、接続先の名前 (SNI) などを含む。暗号化されていないので、途中の経路から中身を読める。

CRCCyclic Redundancy Check(しーあーるしー)設計

データを決まった生成多項式で割った余りを付けて送り、受信側で計算し直して誤りを見つける方式。連続した誤り (バースト誤り) にも強い。イーサネットは宛先 MAC アドレスからデータまでの CRC-32 を、フレームの最後の 4 バイトの FCS に入れ、合わないフレームは捨てる。

CRLCertificate Revocation List(しーあーるえる)暗号・認証

証明書失効リスト。認証局が、失効させた証明書のシリアル番号を並べて署名し、定期的に公開する一覧 (RFC 5280)。利用者はダウンロードして照合する。一覧が大きくなることと、次の更新まで最新の失効が反映されないことが欠点。

関連: 失効OCSP

CSIRTComputer Security Incident Response Team(しーさーと)守り方

組織の中で、セキュリティの事故 (インシデント) の受付・対応・調整を行うチーム。社内の運用・経営・法務・広報や、社外の JPCERT/CC などと連携する。監視を担う SOC、自社製品の脆弱性を扱う PSIRT と役割を分けて覚える。

CSMA/CACarrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance(しーえすえむえーしーえー)設計

無線 LAN の送り方。送りながら衝突を検出できないので、電波が空いていても決まった時間 (DIFS) と乱数のバックオフ時間を待ってから送り、衝突を避ける。受信側が ACK を返して完了し、来なければ待つ幅を広げて再送する。有線の CSMA/CD は送りながら衝突を見つける点が違う。

CSPContent Security Policy(しーえすぴー)守り方

読み込んでよいスクリプトなどの出どころを、HTTP の応答ヘッダでブラウザに指示する仕組み。XSS が起きても被害を出にくくする追加の防御で、出力時のエスケープの代わりにはならない。frame-ancestors でほかのサイトの枠の中での表示も制限できる。

CSRCertificate Signing Request(しーえすあーる)暗号・認証

証明書署名要求。証明書を申請するときに認証局へ送る、公開鍵と名前などを入れて申請者の秘密鍵で署名したデータ (形式は PKCS #10、RFC 2986)。秘密鍵そのものは含まない。鍵ペアは運営者がサーバの中で作り、CSR だけを渡す。

CSRFCross-Site Request Forgery(しーさーふ)守り方

ログイン中の利用者に、別のサイトから意図しない要求 (配送先の変更など) を送らせる攻撃。認証 Cookie が自動で付くため、認証だけを確かめるアプリは受け付けてしまう。CSRF トークン、SameSite 属性、Origin の確認で利用者の意図を確かめ、状態の変更を GET で行わない。

CSRF トークンCSRF token(しーさーふとーくん)守り方

正規のフォームに、セッションに結び付いた推測できない乱数を埋めておき、送られてきた値と照合する CSRF の対策。ほかのサイトのページはトークンを知らないので、その要求は拒否される。

CVSSCommon Vulnerability Scoring System(しーぶいえすえす)守り方

脆弱性の深刻度を、0.0〜10.0 の共通の物差しで表す評価方法 (FIRST が管理)。v3.x は基本値・現状値・環境値の 3 つで、深刻度は 0.1〜3.9 が注意、4.0〜6.9 が警告、7.0〜8.9 が重要、9.0〜10.0 が緊急。点数だけでなく悪用の状況や自組織への影響も見て優先順位を決める。

D

DFSDynamic Frequency Selection(でぃーえふえす)設計

5GHz 帯の W53・W56 で、気象レーダーなどの電波を見つけたら、別のチャネルへ移る機能 (動的周波数選択)。移る間や、使う前の確認の間は通信できない。5GHz 帯は重ならないチャネルが多いが、W52 (DFS 不要) との使い分けを設計で考える。

DHCPDynamic Host Configuration Protocol(でぃーえいちしーぴー)ネットワーク

端末に IP アドレス・サブネットマスク・デフォルトゲートウェイ・DNS サーバなどを自動で配るプロトコル (RFC 2131)。Discover → Offer → Request → Ack (DORA) の順にやり取りし、サーバは UDP の 67 番、クライアントは 68 番を使う。最初はアドレスがないので送信元 0.0.0.0 のブロードキャストで送る。

DHCP スヌーピングDHCP snooping(でぃーえいちしーぴーすぬーぴんぐ)ネットワーク

スイッチが DHCP のやり取りを監視し、DHCP サーバからの応答を信頼すると決めたポートからしか通さない機能。許可していない DHCP サーバが違うゲートウェイや DNS サーバを配るのを防ぐ。記録したアドレスと MAC アドレスの対応は、ダイナミック ARP インスペクションにも使われる。

DHCP リレーエージェントDHCP relay agent(でぃーえいちしーぴーりれーえーじぇんと)ネットワーク

ブロードキャストはルータを越えないので、別の LAN にある DHCP サーバへ、ルータなどが DHCP のメッセージをユニキャストで中継する機能。どの LAN からの依頼かを示すアドレス (giaddr) を書き込むので、サーバはその LAN 用のアドレスを配れる。

DKIMDomainKeys Identified Mail(でぃーきむ)守り方

送信側のサーバがメールのヘッダと本文に秘密鍵で電子署名を付け、受信側が DNS に公開された公開鍵で検証する仕組み (RFC 6376)。途中で書き換えられると検証に失敗する。署名はメール自体に付くので、転送されても残る。

関連: SPFDMARC

DMARCDomain-based Message Authentication, Reporting, and Conformance(でぃーまーく)守り方

SPF か DKIM が pass し、そのドメインが From ヘッダのドメインと一致 (アライメント) するかを確かめる仕組み。一致しないときの扱い (none・quarantine・reject) と集計レポートの宛先を、ドメインの持ち主が DNS で公開する。見た目の差出人の詐称に効く。

関連: SPFDKIM

DMZDeMilitarized Zone(でぃーえむぜっと)守り方

インターネットと内部 LAN の間に、ファイアウォールで区切って作る区域。外に公開する Web・メール・DNS などのサーバだけを置く。DMZ から内部 LAN への通信を拒否しておけば、公開サーバが乗っ取られても被害を DMZ で止められる。

DNSDomain Name System(でぃーえぬえす)ネットワーク

ドメイン名から IP アドレスなどを調べる、階層型の分散データベースのしくみ (RFC 1034・1035)。問い合わせはふつう UDP の 53 番で、応答が大きいときやゾーン転送では TCP の 53 番を使う。A (IPv4)・AAAA (IPv6)・MX (メール)・NS (担当サーバ)・TXT などのレコードがある。

DNS ラウンドロビンDNS round robin(でぃーえぬえすらうんどろびん)設計

1 つの名前に複数のアドレス (A レコード) を登録し、返す順番を変えて負荷を分ける方法。仕組みは簡単だが、止まったサーバのアドレスも返し続け、受け取った答えは TTL の間キャッシュされるので、すぐには切り替わらない。

DNSKEYDNS Public Key record(でぃーえぬえすきー)暗号・認証

DNSSEC で、署名の検証に使う公開鍵をゾーンに置くレコード。ゾーンのレコードに署名する ZSK と、DNSKEY のまとまりに署名する KSK の公開鍵が入る。検証する側は、RRSIG をこの公開鍵で確かめる。

関連: RRSIGKSKZSK

DNSSECDomain Name System Security Extensions(でぃーえぬえすせっく)暗号・認証

DNS の応答データにゾーンの持ち主が署名し、受け取る側が検証して、データが本物で改ざんされていないことを確かめる仕組み (RFC 4033〜4035)。キャッシュポイズニングへの対策になるが、中身は暗号化しないので機密性は守らない。

DoS 攻撃Denial of Service attack(どすこうげき)守り方

回線を埋めたり、機器の表やメモリを使い切らせたりしてサービスを使えなくし、可用性を損なう攻撃。乗っ取った多数の機器や第三者のサーバを使い、多数の場所から同時に行うものを DDoS 攻撃という。

DS レコードDelegation Signer record(でぃーえすれこーど)暗号・認証

DNSSEC で、子ゾーンの KSK の公開鍵のハッシュ値を親ゾーンに置くレコード。親ゾーンが DS に署名することで、子ゾーンの鍵が本物だと保証し、信頼の連鎖をつなぐ。子の KSK を替えるときは、親の DS も更新する必要がある。

DSCPDifferentiated Services Code Point(でぃーえすしーぴー)設計

IP ヘッダの ToS (IPv6 はトラフィッククラス) の上位 6 ビットに入れる、通信の種類の印 (RFC 2474、DiffServ)。音声には EF (46、RFC 3246)、ふつうのデータには BE (0) がよく使われる。印は信頼できる組織の入口で付け直すのが基本である。

関連: QoS

DV 証明書Domain Validation certificate(でぃーぶいしょうめいしょ)暗号・認証

申請者がそのドメインを使えることだけを確かめて発行する証明書。自動ですぐに発行できる。組織の実在まで確かめる OV・EV 証明書と違い、運営者がだれかは保証しないので、フィッシングサイトでも取得できる。

E

EAPExtensible Authentication Protocol(いーえーぴー)守り方

さまざまな認証方式を載せて運ぶための枠組み (RFC 3748)。802.1X では端末とアクセスポイントの間を EAPOL で、アクセスポイントと RADIUS サーバの間を RADIUS に入れて運ぶ。EAP-TLS・PEAP などの方式がある。

EAP-TLSEAP Transport Layer Security(いーえーぴーてぃーえるえす)守り方

EAP の方式の 1 つで、TLS を使い、サーバと端末の両方がデジタル証明書で互いに認証する。パスワードを使わず、端末ごとに証明書を配る必要がある。端末がサーバ証明書を確かめないと、偽のアクセスポイントに認証情報を渡すおそれがある。

ECBElectronic Codebook(いーしーびー)暗号・認証

各ブロックを同じ鍵でそれぞれ独立に暗号化する、いちばん単純な暗号利用モード。同じ中身のブロックは必ず同じ暗号文になるため、画像を暗号化すると模様が透けるなど、平文の規則性が漏れる。通信の暗号化には使わない。

ECDHEElliptic Curve Diffie-Hellman Ephemeral(いーしーでぃーえっちいー)暗号・認証

楕円曲線を使う Diffie-Hellman 鍵交換を、接続のたびに使い捨ての鍵 (Ephemeral) で行う方式。サーバの長期の秘密鍵が後で漏れても過去の通信を解読できない前方秘匿性が得られる。TLS 1.3 の鍵交換は (EC)DHE だけになった。

ESPEncapsulating Security Payload(いーえすぴー)守り方

IPsec で、パケットの暗号化と改ざん検知 (認証) を行うプロトコル (RFC 4303、IP のプロトコル番号 50)。ポート番号を持たないため、途中に NAPT があるときは UDP に包んで通す (NAT トラバーサル)。ふつうは AH ではなく ESP を使う。

F

FIDO2Fast IDentity Online 2(ふぁいどつー)暗号・認証

FIDO Alliance の CTAP と W3C の WebAuthn からなる、公開鍵暗号を使ったチャレンジレスポンス方式の認証の規格。生体情報は端末の中の照合だけに使い、サーバへは送らない。サーバには秘密を置かず、公開鍵だけを保存する。

G

GCMGalois/Counter Mode(じーしーえむ)暗号・認証

CTR モードの暗号化に、改ざん検知のための認証タグの計算を組み合わせた暗号利用モード (NIST SP 800-38D)。受信側でタグが合わなければ復号しない。AES-GCM は TLS 1.3 でも使われる代表的な認証付き暗号である。

H

HeartbleedHeartbleed (CVE-2014-0160)(はーとぶりーど)事件

OpenSSL のハートビート拡張の実装で、申告された長さと実際のデータの長さを照合しなかったため、サーバのメモリの内容を外から読み出せた脆弱性 (CVE-2014-0160)。2014 年 4 月 7 日に修正版 1.0.1g とともに公表された。秘密鍵が漏れたおそれがあるため、修正後に鍵と証明書の作り直しと失効も必要になった。

HMACHash-based Message Authentication Code(えっちまっく)暗号・認証

ハッシュ関数と秘密鍵を組み合わせて作るメッセージ認証コード (RFC 2104、FIPS 198-1)。HMAC-SHA256 のように使うハッシュ関数を添えて呼ぶ。TLS の鍵導出や API の要求の改ざん検知、ワンタイムパスワードの計算などに使われる。

HSMHardware Security Module(えっちえすえむ)暗号・認証

ハードウェアセキュリティモジュール。鍵の生成・保管と署名・復号を専用の耐タンパ性のある装置の中で行い、秘密鍵を外へ出さない。認証局の秘密鍵や KMS のマスター鍵の保管に使われ、FIPS 140-3 などで評価される。

HSTSHTTP Strict Transport Security(えいちえすてぃーえす)ネットワーク

HTTPS の応答の Strict-Transport-Security ヘッダで、指定した期間 (max-age 秒) はそのサイトに HTTPS だけで接続するようブラウザに指示するしくみ (RFC 6797)。適用中は http の URL も HTTPS に変える。まだ学習していない初回の HTTP 接続は守れず、ブラウザへの事前登録 (プリロード) で補う。

関連: HTTPSCookie

HTTPHypertext Transfer Protocol(えいちてぃーてぃーぴー)ネットワーク

Web でクライアントがリクエストを送り、サーバがレスポンスを返すプロトコル。意味は RFC 9110 で定められ、HTTP/1.1・HTTP/2・HTTP/3 で表現形式が違う。ふつう TCP の 80 番を使う。前の要求を覚えないステートレスなので、状態は Cookie などで管理する。平文で、本文もヘッダも暗号化されない。

HTTP ヘッダインジェクションHTTP header injection(えいちてぃーてぃーぴーへっだいんじぇくしょん)守り方

入力を HTTP の応答ヘッダに書き込むとき、入力に改行が入ると、偽の Cookie など別のヘッダや本文を足されてしまう脆弱性。改行を含む値を受け付けないことと、ヘッダを出力する専用の関数を使うことが対策になる。

関連: 入力検証

HTTPSHypertext Transfer Protocol Secure(えいちてぃーてぃーぴーえす)ネットワーク

HTTP を TLS で保護した通信で、ふつう TCP の 443 番を使う。証明書でサーバを確かめ、本文とヘッダを暗号化し、改ざんを検出する。IP アドレスや通信量は経路から見える。鍵マークは通信が保護されていることを示すだけで、サイトが善良である保証ではない。

関連: HTTPTLSHSTS

I

ICMPInternet Control Message Protocol(あいしーえむぴー)ネットワーク

IP の通信で起きた誤りや状態を知らせるプロトコル (RFC 792)。エコー要求・応答 (ping)、宛先到達不能 (タイプ 3)、時間超過 (タイプ 11) などがある。Path MTU Discovery は「分割が必要」の通知に頼るので、ICMP を一律に止めると通信の不具合を招く。

ID トークンID token(あいでぃーとーくん)暗号・認証

OpenID Connect で、IdP が「だれが・いつ・どのアプリに向けて」ログインしたかを書いて署名した JWT。使う側は署名に加え、宛先 (aud) が自分か、期限 (exp) 内かを確かめる。中身を書き換えると署名の検証に失敗する。

IdPIdentity Provider(あいでぃーぴー)暗号・認証

利用者の認証を受け持ち、認証結果を署名して他のサービスに渡す側。SAML や OpenID Connect で使われる。サービス側は自分でパスワードを持たず、IdP の署名を検証して信じる。

IDSIntrusion Detection System(あいでぃーえす)守り方

通信の中身やふるまいを見て、不正や攻撃の兆しを検知し管理者に知らせる仕組み。通信の写しを見るので、止められないが、壊れても通信は止まらない。ネットワークを見る NIDS と、サーバ上のログやファイルを見る HIDS がある。

IGMPInternet Group Management Protocol(あいじーえむぴー)ネットワーク

IPv4 で、端末が最寄りのルータにマルチキャストのグループへの参加・離脱を伝えるプロトコル。ルータは定期的に問い合わせ、まだ受信者がいるかを確かめる。TTL が 1 なのでルータを越えない。IPv6 では MLD が同じ役割を持つ。

IGMP スヌーピングIGMP snooping(あいじーえむぴーすぬーぴんぐ)ネットワーク

スイッチが端末とルータの IGMP のやり取りを盗み見て、グループに参加した端末のポートにだけマルチキャストを流す機能。スイッチはマルチキャストの宛先 MAC アドレスを学習しないので、これがないと全ポートに流れてしまう。

IKEInternet Key Exchange(あいく)守り方

IPsec で通信を始める前に、相手を認証し、鍵を交換して、使う暗号や鍵などの約束 (SA) を決めるプロトコル。現在の版は IKEv2 (RFC 7296) で、UDP の 500 番を使う。認証には事前共有鍵や証明書を使う。

IMAPInternet Message Access Protocol(あいまっぷ)ネットワーク

メールをサーバに置いたまま、フォルダや既読の状態をサーバで管理して読むプロトコル (現行は IMAP4rev2、RFC 9051)。ふつう 143 番、TLS で包むものは 993 番を使う。複数の端末から同じ受信箱を同じ状態で見られる。

関連: POPSMTP

IoCIndicator of Compromise(あいおーしー)守り方

攻撃に使われた IP アドレス・ドメイン名・ファイルのハッシュ値などの痕跡 (侵害の指標)。共有された IoC を自社のログと照合して侵害を見つける。ただし攻撃者が簡単に変えられるものが多く、それだけに頼らない。

IP アドレスInternet Protocol address(あいぴーあどれす)ネットワーク

IP でコンピュータ (のインタフェース) を表す番号。IPv4 は 32 ビットで、8 ビットずつ 4 つに区切って 10 進数で書く。IPv6 は 128 ビット。ネットワーク部とホスト部からなり、送信元と宛先は途中のルータを越えても変わらない (NAT がない場合)。

IP 電話Voice over IP(あいぴーでんわ)ネットワーク

IP ネットワークで音声通話をするしくみ (VoIP)。呼の制御 (かける・鳴らす・切る) は SIP、音声そのものは RTP で運ぶ。同時通話数と 1 通話の帯域から回線を見積もり、QoS で音声を優先する。電話機には PoE で給電することが多い。

IP-VPNIP Virtual Private Network(あいぴーぶいぴーえぬ)設計

通信事業者の閉じた MPLS 網を使う、レイヤ 3 の WAN のサービス。利用者のルータは事業者のルータと経路を交換し、網の中の転送は事業者が受け持つ。会社ごとにラベルなどで分けるので、同じプライベートアドレスを使う会社どうしも混ざらない。

IPSIntrusion Prevention System(あいぴーえす)守り方

通信の通り道 (インライン) に置き、攻撃と判断した通信をその場で遮断する仕組み。止められる代わりに、誤検知すると正しい通信も止まり、機器が壊れると通信全体に影響する。知らせるだけの IDS との違いが問われる。

IPsecSecurity Architecture for the Internet Protocol(あいぴーせっく)守り方

IP パケットを、ネットワーク層で暗号化・認証するプロトコル群 (アーキテクチャは RFC 4301)。ESP と AH、鍵交換の IKE からなり、トンネルモードとトランスポートモードがある。上位のアプリケーションを変えずに使える。

関連: ESPAHIKEVPN

IPv6Internet Protocol version 6(あいぴーぶいろく)設計

アドレスを 128 ビットにした IP (RFC 8200)。16 ビットずつ 8 つを 16 進数で書き、先頭の 0 の省略と、0 が続く所を 1 か所だけ :: にまとめる省略ができる (推奨表記は RFC 5952)。ヘッダは 40 バイト固定でチェックサムが無く、途中のルータは分割しない。ブロードキャストは無い。

ISACInformation Sharing and Analysis Center(あいざっく)守り方

同じ業界の組織が、脅威や攻撃の情報を共有し合うための組織 (金融・電力・交通などの業界ごとにある)。受け取った IoC を自社のログと照合するなど、脅威インテリジェンスの入手先になる。

関連: IoCTLPSTIX

ISMAPInformation system Security Management and Assessment Program(いすまっぷ)守り方

政府が求めるセキュリティ要求を満たすクラウドサービスを、監査を経て評価・登録する制度 (政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)。政府機関は原則として登録されたサービスから調達する。

関連: ISMS

ISMSInformation Security Management System(あいえすえむえす)守り方

組織の情報セキュリティを、リスクアセスメントに基づいて管理策を選び、PDCA で回し続ける仕組み。要求事項は JIS Q 27001 (ISO/IEC 27001) で、第三者による認証を受けられる。2023 年版の附属書 A の管理策は、組織的・人的・物理的・技術的の 4 テーマで 93 ある。

J

JPCERT/CCJapan Computer Emergency Response Team Coordination Center(じぇいぴーさーとしーしー)守り方

日本のインシデント対応の調整と、注意喚起・脆弱性情報の調整を行う一般社団法人。早期警戒パートナーシップでは、IPA が受け付けた脆弱性の届出をもとに開発者と調整し、JVN で公表する。

JVNJapan Vulnerability Notes(じぇいぶいえぬ)守り方

日本で使われているソフトウェアなどの脆弱性情報と対策情報を公開するポータルサイト。JPCERT/CC と IPA が共同で運営する。製品開発者との調整を経た情報や、脆弱性対策情報データベースの JVN iPedia がある。

K

KDCKey Distribution Center(けーでぃーしー)暗号・認証

Kerberos の鍵配布センター。利用者とサービスの鍵を持ち、認証サーバ (AS) とチケット発行サーバ (TGS) の 2 つの役割を担う。Active Directory ではドメインコントローラが KDC になるので、最も厳重に守る。

関連: TGTkrbtgt

KerberosKerberos(けるべろす)暗号・認証

KDC が発行するチケットで認証する、パスワードをネットワークに流さない認証プロトコル (Kerberos V5 は RFC 4120)。Windows の Active Directory の標準の認証で、社内のシングルサインオンを支える。時刻同期が前提になる。

KEVKnown Exploited Vulnerabilities(けーいーぶい)守り方

米国 CISA が公開する、実際に悪用が確認された脆弱性の一覧 (KEV カタログ)。CVSS の点数が中くらいでも、ここに載っていれば優先して対応すべき目安になる。米国の連邦政府機関には期限内の対応が求められる。

KMSKey Management Service(けーえむえす)暗号・認証

鍵管理サービス。暗号鍵の生成・保管・使用・ローテーション・アクセス制御を一元的に行う仕組みで、クラウドで広く提供される。マスター鍵は内部の HSM から外へ出さず、データ鍵を包む (暗号化する) のに使う。だれに鍵を使わせるかの設定は利用者の責任である。

krbtgtKerberos Ticket Granting Ticket account(けーあーるびーてぃーじーてぃー)暗号・認証

Active Directory で、TGT の暗号化と署名に使う KDC 自身のアカウントとその鍵。この鍵が漏れると、どんな利用者の TGT でも偽造できてしまうため、侵害が疑われたら鍵を 2 回更新するなどの対処が必要になる。

関連: TGTKDC

KSKKey Signing Key(けーえすけー)暗号・認証

鍵署名鍵。DNSSEC で、ゾーンの DNSKEY のまとまりに署名する鍵。そのハッシュが親ゾーンの DS レコードに載るため、替えるときは親との調整が要る。ZSK より長く使うことが多い。

L

L3 スイッチLayer 3 switch(えるすりーすいっち)設計

ルーティング (レイヤ 3 の転送) の機能を持つスイッチ。VLAN ごとのネットワークの間を、ハードウェアで高速に中継する。企業の LAN では、各 VLAN の端末のデフォルトゲートウェイを L3 スイッチに置き、DHCP のリレーも受け持たせる構成が多い。

関連: VLANVRRP

LLMLarge Language Model(えるえるえむ)守り方

大量の文章で学習し、続きの文字列を予測して文章を生成する大規模言語モデル。利用者の指示と読み込んだ文書を同じ文字の並びとして扱うので、命令とデータの区別を確実には守れない。

Log4jApache Log4j 2(ろぐふぉーじぇい)事件

Apache ソフトウェア財団の、Java のプログラムがログを書くためのライブラリ。多くの製品に「部品の部品」として推移的に組み込まれており、2021 年の Log4Shell では使っている場所を探すこと自体が大仕事になった。修正版はまず問題の機能を既定で無効にし、のちに取り除いた。

Log4ShellLog4Shell (CVE-2021-44228)(ろぐふぉーしぇる)事件

Java のログ部品 Apache Log4j 2 の脆弱性 (CVE-2021-44228) の通称。ログに書く文字列の一部を、外部 (JNDI 経由) から情報を取り寄せる指示として解釈し、取り寄せたコードを実行しうるものだった。2021 年 12 月 10 日に公表され、CVSS 3.1 の基本値は 10.0。

LSALink State Advertisement(えるえすえー)設計

OSPF のルータが配る、自分のリンクや接続先の情報。全ルータが LSA を集めて同じデータベース (LSDB) を作り、それを地図として最短経路を計算する。リンクが切れると新しい LSA が広まり、各ルータが計算し直す。

M

M/M/1M/M/1 queue(えむえむわん)設計

到着がランダム (ポアソン到着)、処理時間が指数分布、窓口 1 つの待ち行列のモデル。利用率 ρ = 到着率 × 平均サービス時間。平均待ち時間 = ρ ÷ (1 − ρ) × 平均サービス時間で、ρ が 1 に近づくと急に増える (0.8 で 4 倍、0.9 で 9 倍、0.95 で 19 倍)。応答時間は、待ち時間にサービス時間を足したものである。

MAC アドレスMedia Access Control address(まっくあどれす)ネットワーク

イーサネットや Wi-Fi の機器 (の差し口) ごとの 48 ビットの番号。同じネットワークの中で、フレームの宛先・送信元に使う。前半 24 ビットは製造元の番号 (OUI)。先頭のバイトに、1 台あてかグループあてかの印と、ローカル管理アドレスかどうかの印がある。

MAIL FROMenvelope sender (SMTP MAIL FROM)(めーるふろむ)守り方

SMTP の配送で使うエンベロープ上の差出人 (RFC 5321)。エラーメールの返送先にもなる。画面に表示されるヘッダの From とは別物で、SPF が確かめるのはこちらのドメインである。SMTP 自体はどちらの差出人も確かめない。

関連: SPFDMARC

MITRE ATT&CKMITRE ATT&CK (Adversarial Tactics, Techniques, and Common Knowledge)(まいたーあたっく)守り方

実際の攻撃の観察をもとに、攻撃者の目的 (戦術) と、その実現手段 (技術) を整理した知識ベース。企業向けでは 14 の戦術があり、侵入後の探索・権限昇格・横展開まで細かく扱う。自社の検知がどの戦術・技術を見ているかの抜けの確認に使う。

ML-DSAModule-Lattice-Based Digital Signature Algorithm(えむえるでぃーえすえー)暗号・認証

格子の問題をもとにした耐量子のデジタル署名方式で、2024 年に NIST の FIPS 204 になった (もとの名前は CRYSTALS-Dilithium)。ML-DSA-65 の署名は 3,309 バイトと、楕円曲線の署名 (64 バイト) よりずっと大きく、証明書や通信量に影響する。

ML-KEMModule-Lattice-Based Key-Encapsulation Mechanism(えむえるけむ)暗号・認証

格子の問題をもとにした耐量子の鍵カプセル化方式で、2024 年に NIST の FIPS 203 になった (もとの名前は CRYSTALS-Kyber)。ML-KEM-768 の公開鍵は 1,184 バイトで、X25519 の 32 バイトよりずっと大きい。TLS では X25519 と組み合わせて使われている。

MOVEit TransferMOVEit Transfer (CVE-2023-34362)(むーぶいっととらんすふぁー)事件

Progress 社の、組織間でファイルを受け渡すための Web アプリ。2023 年に、ログインなしで悪用できる SQL インジェクション (CVE-2023-34362、CVSS 3.1 基本値 9.8) が公表前の 5 月 27 日から悪用され、預かったデータが多くの組織から持ち出された。

MPLSMulti-Protocol Label Switching(えむぴーえるえす)設計

網の入口のルータがパケットにラベル (20 ビット) を付け、途中のルータは IP アドレスを見ずにラベルの表だけで付け替えて運ぶ転送方式 (RFC 3031)。出口でラベルを外す。会社ごとに違うラベルで区別できるので、IP-VPN の土台になる (BGP/MPLS IP VPN、RFC 4364)。

関連: IP-VPNWAN

MSSMaximum Segment Size(えむえすえす)ネットワーク

TCP の 1 つのセグメントで運ぶデータの最大の大きさ。接続の最初に SYN で相手に伝える。IPv4 では MTU から IP と TCP のヘッダ 40 バイトを引いた値で、イーサネットなら 1460 バイト。PPPoE などで MTU が小さい区間では、MSS を小さく書き換えて分割を避けることがある。

MTBFMean Time Between Failures(えむてぃーびーえふ)設計

平均故障間隔。故障が直ってから次に故障するまでの、動き続ける時間の平均。長いほど壊れにくい (信頼性が高い)。稼働率 = MTBF ÷ (MTBF + MTTR)。故障率は 1 ÷ MTBF として扱う。

MTTRMean Time To Repair(えむてぃーてぃーあーる)設計

平均修復時間。故障してから直るまでの時間の平均。短いほど直しやすい (保守性が高い)。予備品の用意、監視による早い検知、手順書などで縮める。稼働率 = MTBF ÷ (MTBF + MTTR)。

MTUMaximum Transmission Unit(えむてぃーゆー)ネットワーク

1 回に送れるパケット (IP ヘッダを含む) の最大の大きさ。イーサネットではふつう 1500 バイト。経路の途中の最小の MTU を経路 MTU と呼ぶ。IPv6 ではどのリンクも 1280 バイト以上の MTU を持つことが求められる。

MX レコードMail Exchanger record(えむえっくすれこーど)ネットワーク

そのドメインあてのメールを受け取るサーバを示す DNS のレコード。送信サーバは宛先ドメインの MX レコードを引いて配送先を決める。優先度の数字が小さいサーバに先に送り、止まっていれば次のサーバに送る。

関連: DNSSMTP

N

NAPTNetwork Address Port Translation(なぷと)守り方

送信元の IP アドレスに加えてポート番号も付け替え、多数の内部の機器が外側のアドレス 1 つを共用できるようにする NAT。同じポート番号を使う機器も別のポートに付け替えて区別し、返事は変換表を見て元の機器に戻す。IP マスカレードとも呼ぶ。

NATNetwork Address Translation(なっと)守り方

IP パケットのアドレスを、境目のルータなどで書き換える技術。狭い意味ではアドレスだけを 1 対 1 で付け替える。変換表にない外からの接続はどの機器あてか決まらないので結果的に入れないが、ファイアウォールの代わりにはならない。

NAT ゲートウェイNAT gateway(なっとげーとうぇい)設計

プライベートサブネットのサーバが、更新の取得などで外へ通信するときに、送信元のアドレスを付け替えるクラウドのサービス。内側から始めた通信の戻りだけを通し、外から内側への新しい接続は受け付けない。

NAT トラバーサルNAT Traversal(なっととらばーさる)守り方

途中に NAPT があっても IPsec を通せるように、ESP パケットを UDP に包む仕組み (RFC 3948)。ESP にはポート番号がなく NAPT が変換できないため、UDP の 4500 番に包んで送る。IKE で途中の NAT の有無を調べて使う。

関連: ESPNAPTIKE

NDPNeighbor Discovery Protocol(えぬでぃーぴー)設計

IPv6 の近隣探索プロトコル (RFC 4861)。ICMPv6 で、ARP の代わりのアドレス解決、ルータの発見 (RS・RA)、重複アドレスの検出などを行う。問い合わせは相手のアドレスの末尾 24 ビットから作る要請ノードマルチキャストアドレスに送るので、全員に届くブロードキャストより無駄が少ない。

関連: IPv6SLAACARP

NTPNetwork Time Protocol(えぬてぃーぴー)設計

機器の時刻をそろえるプロトコル (NTPv4、RFC 5905、UDP の 123 番)。4 つの時刻 T1〜T4 から、時刻のずれ θ = ((T2 − T1) + (T3 − T4)) ÷ 2 と往復の遅れ δ = (T4 − T1) − (T3 − T2) を求める。行きと帰りの遅れの差の半分が誤差になる。ログの突き合わせや証明書の期限確認の前提である。

関連: SyslogSNMP

O

OAuth 2.0Open Authorization 2.0(おーおーすにーてんぜろ)暗号・認証

利用者のパスワードを渡さずに、アプリに必要な権限だけを期限付きで与える認可の枠組み (RFC 6749)。利用者が認可サーバで同意し、アプリはアクセストークンで API を呼ぶ。だれがログインしたかを伝える認証の仕組みではない。

OCSPOnline Certificate Status Protocol(おーしーえすぴー)暗号・認証

証明書 1 枚ごとの失効状態を、OCSP レスポンダに問い合わせて確かめるプロトコル (RFC 6960)。CRL より新しい情報を少ない量で得られる。サーバが応答を先に取得して TLS で一緒に渡す OCSP ステープリングもある。

関連: 失効CRL

OFDMAOrthogonal Frequency Division Multiple Access(おーえふでぃーえむえー)設計

Wi-Fi 6 (IEEE 802.11ax) で使う、1 つのチャネルの周波数を細かい単位 (RU) に分け、複数の端末に同時に送る方式。20MHz 幅なら最大 9 台に分けられ、端末が多く小さなデータが多い場所で効く。

OP25BOutbound Port 25 Blocking(おーぴーにじゅうごびー)ネットワーク

プロバイダが、家庭などの動的な IP アドレスの回線から外部のメールサーバの 25 番への通信を止める対策。乗っ取られたパソコンが直接迷惑メールを送るのを防ぐ。利用者は 587 番のサブミッションポートで、認証して自分の送信サーバに送る。

OpenID ConnectOpenID Connect (OIDC)(おーぷんあいでぃーこねくと)暗号・認証

OAuth 2.0 の上に、だれがログインしたかを伝える認証の仕組みを足した規格 (OpenID Foundation の OpenID Connect Core 1.0)。結果は署名付きの ID トークン (JWT) で渡し、使う側は署名・発行者・宛先・期限を検証する。

OpenSSLOpenSSL(おーぷんえすえすえる)事件

TLS と暗号の機能を実装したオープンソースのライブラリ。多くの Web サーバや機器に組み込まれているため、その脆弱性は影響が広い。2014 年の Heartbleed では、どの機器がどの版を使っているかの把握が対応の速さを分けた。

OS コマンドインジェクションOS command injection(おーえすこまんどいんじぇくしょん)守り方

入力を含む文字列をシェルに渡して外部のコマンドを動かすため、入力が別の命令や引数として解釈される脆弱性。シェルを通さず引数のリストで渡すか、そもそも外部のコマンドを呼ばない作りにする。

OSI 参照モデルOpen Systems Interconnection reference model(おーえすあいさんしょうもでる)ネットワーク

通信の機能を、物理・データリンク・ネットワーク・トランスポート・セッション・プレゼンテーション・アプリケーションの 7 層に分けた ISO の参照モデル。試験では、リピータやハブは第 1 層、L2 スイッチは第 2 層、ルータは第 3 層のように、機器がどの層で動くかがよく問われる。

OSPFOpen Shortest Path First(おーえすぴーえふ)設計

組織の中 (1 つの AS の中) で使うリンクステート型のルーティングプロトコル (OSPFv2 は RFC 2328、IPv6 用の OSPFv3 は RFC 5340)。コストは参照帯域 ÷ インタフェースの帯域で、合計が最小の経路を選ぶ。大きな網はエリアに分け、エリア 0 (バックボーン) を中心につなぐ。

P

Path MTU DiscoveryPath MTU Discovery(ぱすえむてぃーゆーでぃすかばりー)ネットワーク

DF (分割禁止) フラグを立てて送り、MTU の小さい区間の手前のルータから返る ICMP の「分割が必要」(IPv6 では Packet Too Big) で、経路の最小 MTU を知る方法 (RFC 1191、IPv6 は RFC 8201)。この ICMP をファイアウォールで止めると、大きなパケットだけが黙って消える MTU ブラックホールが起きる。

PBKDF2Password-Based Key Derivation Function 2(ぴーびーけーでぃーえふつー)暗号・認証

パスワードとソルトから、HMAC などの計算を指定回数繰り返して鍵やハッシュ値を作る関数 (RFC 8018)。ストレッチングの代表で、繰り返し回数を増やすほど総当たりに強くなる。Kerberos でもパスワードから鍵を作るのに使われる。

PDPPolicy Decision Point(ぴーでぃーぴー)守り方

ゼロトラストで、アクセスを許すかどうかを判断する部分 (ポリシー決定点)。ID・端末の状態・脅威の情報・記録などを使ってリソースごとに判断し、結果を PEP に伝える。NIST SP 800-207 ではポリシーエンジンとポリシー管理者からなる。

PEPPolicy Enforcement Point(ぴーいーぴー)守り方

ゼロトラストで、利用者とリソースの間に立ち、PDP の判断に従って通信を通したり止めたりする部分 (ポリシー実施点)。利用者は PEP を通らないとリソースに届かず、PEP はアクセスのたびに PDP に判断を求める。

PIMProtocol Independent Multicast(ぴむ)ネットワーク

ルータどうしでマルチキャストの配信の木を作るルーティングプロトコル。欲しい所にだけ配るスパースモード (PIM-SM、RFC 7761) と、まず全体に流して不要な枝を刈るデンスモードがある。RPF チェックで、送信元へ戻る向き以外から届いたパケットを捨ててループを防ぐ。

PKCEProof Key for Code Exchange(ぴくしー)暗号・認証

認可コードを横取りされても使えなくする OAuth の拡張 (RFC 7636)。アプリは乱数を作ってそのハッシュ値を最初に送り、トークンと交換するときに元の乱数を見せる。乱数を知らない攻撃者は認可コードを交換できない。

PMKPairwise Master Key(ぴーえむけー)守り方

WPA2 で、接続ごとの鍵を作る元になる 256 ビットの鍵。パーソナルではパスフレーズと SSID (ソルト) から PBKDF2 (HMAC-SHA1) を 4096 回繰り返して作り、エンタープライズでは 802.1X の認証の結果から得る。電波には流さない。

POPPost Office Protocol(ぽっぷ)ネットワーク

受信サーバの受信箱からメールを端末に取り込むプロトコル (POP3、RFC 1939)。ふつう 110 番、TLS で包む POP3S は 995 番を使う。端末にダウンロードして読むのが基本で、サーバ上でフォルダを管理する IMAP とは違う。

関連: IMAPSMTP

PSIRTProduct Security Incident Response Team(ぴーさーと)守り方

自社が開発・提供する製品やサービスの脆弱性に対応するチーム。外部からの脆弱性の届出を受け、修正版の準備と公表を調整する。組織内の事故を扱う CSIRT とは対象が違う。

Q

QoSQuality of Service(きゅーおーえす)設計

混んだ回線で、通信を種類ごとに分け、遅れや揺らぎに弱い音声などを先に送る仕組み。分類・マーキング・キューイング (優先キューなど)・シェーピング/ポリシングの順に処理する。順番どおり (FIFO) では、音声が大きなデータの後ろで待たされる。

R

RADIUSRemote Authentication Dial In User Service(らでぃうす)守り方

ネットワークに接続する利用者の認証・認可・アカウンティングを、まとめて行うサーバとのプロトコル (RFC 2865)。802.1X ではアクセスポイントやスイッチが端末の認証を RADIUS サーバに中継する。認証は UDP の 1812 番を使う。

RAGRetrieval-Augmented Generation(らぐ)守り方

質問に関係する文書を検索して LLM に渡し、それをもとに答えさせる仕組み (検索拡張生成)。検索の段階で、元の文書と同じアクセス権で絞らないと、権限のない人の質問に秘密の文書の内容が渡ってしまう。

RP IDRelying Party Identifier(あーるぴーあいでぃー)暗号・認証

FIDO2 / WebAuthn で、鍵ペアを結び付けるサイト (依拠当事者、RP) の名前で、ふつうドメイン名。認証器は RP ID のハッシュを署名するデータに入れ、別のドメインの偽サイトには本物の鍵を使わせない。

RPKIResource Public Key Infrastructure(あーるぴーけーあい)設計

アドレスの持ち主を証明書で示す仕組み (RFC 6480)。持ち主は、そのプレフィックスを広告してよい AS と最大の長さを署名した ROA を公開する。受け取ったルータは経路を ROA と照らして Valid・Invalid・NotFound に分け (RFC 6811)、Invalid を捨てて経路ハイジャックを防ぐ。

RPORecovery Point Objective(あーるぴーおー)守り方

障害のとき、どの時点までのデータを戻せればよいかの目標 (目標復旧時点)。失ってもよいデータの量を表す。例えば毎日 2 時に取っていて 15 時に壊れると、13 時間分のデータを失う。RPO を短くするにはバックアップの間隔を短くする。

RRSIGResource Record Signature(あーるあーるしぐ)暗号・認証

DNSSEC で、同じ名前・同じ種類のレコードのまとまり (RRset) ごとに付ける署名のレコード。署名の有効期限を持ち、期限までに署名し直さないと本物の応答まで検証に失敗する。

RSARivest–Shamir–Adleman(あーるえすえー)暗号・認証

代表的な公開鍵暗号で、暗号化とデジタル署名の両方に使える。大きな合成数 n を 2 つの素数に分解する (素因数分解) のが難しいことを安全性の根拠とする。現在は n を 2048 ビット以上にするのが一般的で、量子計算機のショアのアルゴリズムでは破られるおそれがある。

RTORecovery Time Objective(あーるてぃーおー)守り方

障害が起きてから、どれだけの時間で業務やシステムを復旧させるかの目標 (目標復旧時間)。データ量と復元の速さで実際にかかる時間が決まるので、定期的に復元を訓練して RTO に収まるかを測る。

RTPReal-time Transport Protocol(あーるてぃーぴー)ネットワーク

音声や映像を実時間で運ぶプロトコル (RFC 3550)。ふつう UDP の上で使い、シーケンス番号とタイムスタンプで順番と再生の時刻をそろえる。G.711 (64kbit/s) を 20 ミリ秒ごとに送ると 1 秒に 50 パケットで、RTP・UDP・IP のヘッダ 40 バイトを足すと IP で 80kbit/s になる。

RTS/CTSRequest To Send / Clear To Send(あーるてぃーえすしーてぃーえす)設計

送信前に端末が RTS (送信要求) を送り、AP が CTS (送信可) を返す手順。CTS を聞いたほかの端末は、そこに書かれた時間だけ送信を控える。隠れ端末どうしの衝突を減らすが、やり取りが増えるぶん効率は下がる。

S

SAESimultaneous Authentication of Equals(えすえーいー)守り方

WPA3 パーソナルで使う、パスワードを使った鍵交換 (Dragonfly)。パスワードの候補を 1 回試すたびに本物のアクセスポイントとのやり取りが必要で、記録したやり取りからオフラインで試せない。過去の通信の鍵も後から割り出せない (前方秘匿性)。

関連: WPA3WPA2

SameSite 属性SameSite cookie attribute(せいむさいとぞくせい)守り方

Cookie を、ほかのサイトから始まった要求に付けるかを指定する属性 (Strict・Lax・None)。別サイトからの要求に認証 Cookie が付かないようにして、CSRF を起こりにくくする。トークンや Origin の確認と重ねて使う。

SAMLSecurity Assertion Markup Language(さむる)暗号・認証

XML で書いた認証結果 (アサーション) を IdP が署名し、サービス側 (SP) が検証して信じる、シングルサインオンの規格 (OASIS の SAML 2.0)。企業のシステムで多く使われる。OpenID Connect は JSON の JWT を使う点が違う。

SANSubject Alternative Name(さん)暗号・認証

サブジェクト代替名。証明書に、その証明書が使えるドメイン名や IP アドレスを並べる拡張領域。ブラウザは接続したホスト名が SAN にあるかを確かめ、無ければ名前違いとして警告する。1 枚の証明書に複数の名前を載せられる。

SBOMSoftware Bill of Materials(えすぼむ)守り方

ソフトウェアを構成する部品 (ライブラリ) の名前・版・識別子などを、機械で読める決まった形式で書き出した一覧。SPDX や CycloneDX などの形式がある。脆弱性の注意喚起が出たとき、使っているかとどこから入ったかをすぐ調べられる。

SDNSoftware-Defined Networking(えすでぃーえぬ)設計

転送先を決める制御 (コントロールプレーン) をソフトウェアのコントローラに集め、スイッチは転送 (データプレーン) だけを受け持つ考え方。コントローラが各スイッチのフローテーブルをまとめて書き換えるので、設定変更をプログラムで自動化できる。代表的な制御プロトコルは OpenFlow。

SDPSession Description Protocol(えすでぃーぴー)ネットワーク

通話などのセッションで使うメディアの種類・コーデック・受信するアドレスとポートを書く形式 (RFC 8866)。SIP の INVITE に使えるコーデックを並べて提案 (offer) し、相手が応答 (answer) で選ぶ。NAPT の内側のアドレスを書くと音声が片方向になる。

関連: SIPRTP

SHA-1Secure Hash Algorithm 1(しゃーわん)暗号・認証

出力 160 ビットの古いハッシュ関数。2017 年に同じハッシュ値になる 2 つの文書 (衝突) が実際に作られ、MD5 と同様、デジタル署名には使ってはならない。新しいシステムでは SHA-256 などの SHA-2 や SHA-3 を使う。

SHA-256Secure Hash Algorithm 256-bit(しゃーにごろく)暗号・認証

NIST の FIPS 180-4 で定められた SHA-2 系のハッシュ関数。出力は 256 ビット (32 バイト)。署名や証明書、改ざん検知に広く使われる。計算が速いので、パスワードの保存にはそのまま使わず、ソルトとストレッチングを組み合わせる。

SIEMSecurity Information and Event Management(しーむ)守り方

ファイアウォール・プロキシ・DNS・認証・EDR・クラウドなどのログを 1 か所に集め、ID や端末・時刻で関連付けて分析し、攻撃の兆候を警告する仕組み。機器の時刻を NTP でそろえることが前提になる。

SIPSession Initiation Protocol(しっぷ)ネットワーク

IP 電話などで、呼の開始・変更・終了を制御するプロトコル (RFC 3261)。ふつう 5060 番を使う。INVITE → 100 Trying → 180 Ringing → 200 OK → ACK で通話を始め、BYE で切る。使うコーデックや受信ポートは本文の SDP で伝え、音声は RTP で端末どうしが直接送る。

SLAACStateless Address Autoconfiguration(すらっく)設計

ルータ広告 (RA) で知らされたプレフィックスに、自分で作った 64 ビットのインタフェース ID をつなげて IPv6 アドレスを作る自動設定 (RFC 4862)。MAC アドレスから作る ID は追跡に使われうるので、今の OS は乱数で作る一時アドレス (RFC 8981) を外への通信に使う。

関連: IPv6NDP

SLESingle Loss Expectancy(えすえるいー)守り方

リスクが 1 回起きたときの予想損失額。資産価値 × 暴露係数 (1 回で失う割合) で求める。例えば資産価値 5,000 万円で 40% を失うなら SLE は 2,000 万円になる。

SLH-DSAStateless Hash-Based Digital Signature Algorithm(えすえるえっちでぃーえすえー)暗号・認証

ハッシュ関数の安全性だけをもとにした耐量子のデジタル署名方式で、2024 年に NIST の FIPS 205 になった (もとの名前は SPHINCS+)。格子とは別の根拠を持つ予備の選択肢だが、署名は大きく、作成も遅い。

SMTPSimple Mail Transfer Protocol(えすえむてぃーぴー)ネットワーク

メールを送信・配送するプロトコル (RFC 5321)。EHLO・MAIL FROM・RCPT TO・DATA の順に伝え、画面の From: や件名は DATA の中の本文側にある。サーバどうしの配送は 25 番を使う。もともと平文で、差出人も確かめない。

SNIServer Name Indication(えすえぬあい)暗号・認証

TLS の ClientHello に、接続したいホスト名を書く拡張 (RFC 6066)。1 つの IP アドレスで複数のサイトを運用するサーバが、どの証明書を返すかを選ぶのに使う。暗号化されないため、どのサイトに接続しているかは経路から見える。

SNMPSimple Network Management Protocol(えすえぬえむぴー)設計

ネットワーク機器の状態を集めるプロトコル。監視サーバ (マネージャ) が機器 (エージェント) の MIB の値を定期的に聞くポーリングは UDP の 161 番、機器から異常を知らせるトラップは UDP の 162 番を使う。32 ビットのカウンタは一周するので、速い回線では 64 ビットのカウンタを使う。

SNMPv3SNMP version 3(えすえぬえむぴーぶいすりー)設計

SNMP のバージョン 3。v1・v2c は平文のコミュニティ名を合言葉にするだけで盗聴に弱いが、v3 はユーザごとの認証と、中身の暗号化ができる (USM、RFC 3414)。

関連: SNMP

SOCSecurity Operations Center(そっく)守り方

ネットワークや端末のログを常時監視し、攻撃の兆候を見つけて分析・通報する組織や拠点。見つけた事象を CSIRT へ渡し、対応につなげる。SIEM などでログを集めて相関分析する。

関連: CSIRTSIEM

SolarWindsSolarWinds Orion supply chain compromise(そーらーうぃんず)事件

2020 年 12 月に公表されたサプライチェーン攻撃の事件。IT 監視製品 Orion の更新プログラムを作る工程に不正なコードが入れられ、正規の署名付き更新として配られた。米国 CISA は緊急指令 (ED 21-01) で該当製品の切り離しなどを求めた。

SPFSender Policy Framework(えすぴーえふ)守り方

ドメインの持ち主が、そのドメインのメールを送ってよいサーバの IP アドレスを DNS の TXT レコードで公開し、受信側が送ってきた IP と照合する仕組み (RFC 7208)。確かめるのは MAIL FROM のドメインで、転送されると送信元の IP が変わり fail になりやすい。

SQL インジェクションSQL injection(えすきゅーえるいんじぇくしょん)守り方

入力を文字列としてつなげて SQL 文を組み立てるため、入力が文の構造として解釈され、データベースの情報を読まれたり書き換えられたりする脆弱性。根本対策はプレースホルダ (バインド機構) で値を文と分けて渡すこと。DB アカウントの権限も絞る。

SSIDService Set Identifier(えすえすあいでぃー)守り方

無線 LAN のネットワークを識別する名前 (最大 32 オクテット)。WPA2 パーソナルでは、パスフレーズから PMK を作るときのソルトにもなる。ビーコンを止めて SSID を隠しても、接続時のやり取りから分かるので守りにはならない。

関連: PMKWPA2

SSLSecure Sockets Layer(えすえすえる)暗号・認証

TLS の前身のプロトコル。SSL 2.0・3.0 には設計上の脆弱性があり、どちらも IETF が使用を禁止した (SSL 3.0 は RFC 7568)。TLS 1.0 と 1.1 も 2021 年に RFC 8996 で廃止 (使ってはならない) とされ、現在は TLS 1.2 以上を使う。

関連: TLSTLS 1.3

SSL-VPNSecure Sockets Layer VPN(えすえすえるぶいぴーえぬ)守り方

TLS で暗号化するリモートアクセス VPN。Web ブラウザや専用のクライアントから使え、ふつう HTTPS と同じ TCP の 443 番で通るため、途中のファイアウォールや NAT に妨げられにくい。インターネットに公開される VPN 機器は狙われやすく、脆弱性の修正と多要素認証が欠かせない。

関連: VPNIPsecTLS

STARTTLSSTARTTLS(すたーとてぃーえるえす)ネットワーク

平文で始めた SMTP などの接続を、途中から TLS に切り替えて暗号化するコマンド (SMTP では RFC 3207)。相手が対応していないと平文のまま送られることがあり、途中で STARTTLS の案内を消されると暗号化されない (ダウングレード) おそれもある。

関連: SMTPTLS

STIXStructured Threat Information Expression(すてぃっくす)守り方

脅威の情報 (攻撃の指標・手口・攻撃者など) を、組織や製品の間で自動でやり取りするための記述形式。OASIS の標準で、バージョン 2 からは JSON で表す。指標はパターンとして照合の条件を書く。

関連: TAXIIIoCTLP

STPSpanning Tree Protocol(えすてぃーぴー)設計

スイッチの間の予備の線でできたループを、一部のポートをブロックして木の形にする L2 のプロトコル (IEEE 802.1D)。切れると計算し直して予備のポートを開ける。STP の切り替えは数十秒かかり、改良版の RSTP (IEEE 802.1w) は数秒以内に切り替わる。

SYN クッキーSYN cookies(しんくっきー)守り方

SYN を受けたとき、接続の情報と秘密の値から計算した初期シーケンス番号を SYN-ACK で返し、戻ってきた ACK を再計算で確かめる仕組み。半開きの接続を表に覚えなくて済むので、SYN フラッドでも表があふれない (RFC 4987 で紹介)。

SYN フラッドSYN flood(しんふらっど)守り方

TCP の接続の最初の SYN だけを大量に送り、サーバが応答を待つ半開きの接続を覚える表を埋めて、新しい接続を受け付けられなくする攻撃。送信元を偽ることが多い。SYN クッキーで表を使わずに受けて対策する。

Syslogsyslog(しすろぐ)設計

機器やサーバのログを集約サーバへ送るプロトコル (RFC 5424。UDP なら 514 番)。重大度は 0 (Emergency) から 7 (Debug) までで、小さいほど深刻。先頭の PRI は機能 (facility) × 8 + 重大度。UDP は届いたか分からないので、大事なログは TLS で送る (RFC 5425)。

関連: SNMPNTP

T

TAXIITrusted Automated Exchange of Intelligence Information(たくしー)守り方

STIX で書いた脅威の情報を、HTTPS の API でやり取りするための決まり (OASIS の標準)。STIX が「何を書くか」、TAXII が「どう運ぶか」を受け持つ。

関連: STIXISAC

TCPTransmission Control Protocol(てぃーしーぴー)ネットワーク

トランスポート層で、接続を確立してから、届いたかの確認・順番の並べ直し・失われたデータの再送・フロー制御を行うプロトコル (RFC 9293)。Web やメールなど、正確に届くことが大事な通信に使う。ヘッダはオプションなしで 20 バイト。

TCP/IPTransmission Control Protocol / Internet Protocol(てぃーしーぴーあいぴー)ネットワーク

インターネットで実際に使われるプロトコル群と、その階層モデル。リンク層・インターネット層・トランスポート層・アプリケーション層の 4 層で考える。OSI 参照モデルの上位 3 層はアプリケーション層にまとめられる。

TGTTicket Granting Ticket(てぃーじーてぃー)暗号・認証

Kerberos で最初に KDC の認証サーバ (AS) から受け取る、チケットをもらうためのチケット。KDC の鍵 (krbtgt) で暗号化されていて、利用者は中身を読めず運ぶだけである。有効な間は TGS に見せるだけで、パスワードを入れ直さずにサービスチケットを得られる。

TLPTraffic Light Protocol(てぃーえるぴー)守り方

共有する情報に付ける、共有してよい範囲の印 (FIRST の TLP 2.0)。CLEAR (公開可)・GREEN (コミュニティ内)・AMBER (組織内と顧客)・AMBER+STRICT (組織内のみ)・RED (受け取った本人のみ) の 5 区分がある。

関連: STIXISAC

TLSTransport Layer Security(てぃーえるえす)暗号・認証

通信路の暗号化・改ざん検知・サーバ (必要ならクライアントも) の認証を提供するプロトコル。鍵交換で共通鍵を作り、証明書と署名で相手を確かめ、認証付き暗号で中身を守る。HTTPS は HTTP を TLS で保護したもの。

関連: TLS 1.3SSL

TLS 1.3Transport Layer Security version 1.3(てぃーえるえすいってんさん)暗号・認証

2018 年に RFC 8446 で定められた TLS の版。ハンドシェイクは 1 往復 (1-RTT) で、鍵交換は前方秘匿性のある (EC)DHE だけ、暗号は認証付き暗号だけに絞られた。ServerHello より後は暗号化され、サーバ証明書も経路からは見えない。

traceroute(とれーするーと)ネットワーク

TTL を 1、2、3 と増やしながらパケットを送り、TTL が 0 になったルータから返る ICMP の時間超過 (タイプ 11) で、宛先までに通るルータを順に調べるコマンド。Windows では tracert という名前である。

TTLTime To Live(てぃーてぃーえる)ネットワーク

IP ヘッダでは、ルータを越えるたびに 1 減らし、0 になったら捨てて ICMP の時間超過 (タイプ 11。動画では「時間切れ」) を送り主に返す値で、経路のループでパケットが回り続けるのを防ぐ。DNS では、答えをキャッシュに覚えておいてよい秒数を表す。

TTPTactics, Techniques, and Procedures(てぃーてぃーぴー)守り方

攻撃者の戦術・技術・手順のこと。何を目的に (戦術)、どんな方法で (技術)、具体的にどう行うか (手順) の 3 層で行動をとらえる。IP アドレスなどの IoC より変えにくいので、TTP で検知できると強い。

U

UDPUser Datagram Protocol(ゆーでぃーぴー)ネットワーク

トランスポート層で、接続も確認応答もせずに送りっぱなしにするプロトコル (RFC 768)。ヘッダは 8 バイトと小さく、遅れが少ない。DNS の問い合わせ、DHCP、音声の RTP など、速さが大事な通信や短いやり取りに使う。

V

VLANVirtual LAN(ぶいらん)設計

1 台のスイッチの中を、ポートやタグごとに別のネットワーク (ブロードキャストドメイン) に分ける仕組み。VLAN の間の通信はルータや L3 スイッチを通るので、そこでファイアウォールなどにより必要な通信だけを許可できる。

VPCVirtual Private Cloud(ぶいぴーしー)設計

クラウドの中に作る、自分専用の仮想ネットワーク (AWS などの呼び名)。中を、外から入れるパブリックサブネットと、外から直接は入れないプライベートサブネットに分ける。データベースなどはプライベートに置く。

VPNVirtual Private Network(ぶいぴーえぬ)守り方

インターネットなど共用の回線の上に、暗号化と相手の認証で守った仮想的な専用の通り道を作り、離れた拠点や端末を 1 つのネットワークのようにつなぐ技術。拠点間をつなぐものと、自宅や出先から社内につなぐリモートアクセス VPN がある。

VRRPVirtual Router Redundancy Protocol(ぶいあーるあーるぴー)設計

複数のルータで 1 つの仮想 IP アドレスと仮想 MAC アドレス (IPv4 では 00-00-5E-00-01-{VRID}) を共有し、デフォルトゲートウェイを冗長化するプロトコル (RFC 5798。2024 年の改訂版は RFC 9568)。優先度の高いマスターが 1 秒ごとに広告を送り、途絶えるとバックアップが引き継ぐ (優先度 100 なら約 3.6 秒後)。端末の設定や ARP テーブルは変えなくてよい。外側の線の断で優先度を下げるのがトラッキングである。

VXLANVirtual eXtensible Local Area Network(ぶいえっくすらん)設計

仮想マシンのイーサネットフレームを UDP (4789 番) に包んで IP の網の上で運ぶ、L2 のオーバーレイ (RFC 7348)。ネットワークの番号 VNI は 24 ビットで約 1677 万通りあり、VLAN の 4094 の限界を超える。包むと 50 バイト増えるので、下の網の MTU を大きくしておく。

W

WAFWeb Application Firewall(わふ)守り方

Web アプリケーションへの HTTP リクエストの中身を調べ、SQL インジェクションやクロスサイトスクリプティングなどの攻撃を止める仕組み。HTTPS では TLS を終端して中身を見る。すり抜けもあるので、アプリ自体の修正の代わりにはならない。

WANWide Area Network(わん)設計

離れた拠点どうしを、通信事業者の網やインターネットを借りてつなぐネットワーク。専用線・IP-VPN・広域イーサネット・インターネット VPN などがあり、どの層でつなぐか・経路をだれが持つか・品質・費用で選ぶ。

WannaCryWannaCry(わなくらい)事件

2017 年 5 月 12 日に世界中で被害が広がったランサムウェア。Windows のファイル共有 (SMBv1) の脆弱性 (MS17-010、修正は同年 3 月 14 日に公開済み) を EternalBlue と呼ばれる攻撃コードで突き、ネットワーク上の未修正の端末へ自分で広がるワームの性質を持っていた。英国の国民保健サービスでは少なくとも 81 の病院群が影響を受けた。

WEPWired Equivalent Privacy(うぇっぷ)守り方

初期の無線 LAN の暗号化方式。RC4 と短い初期化ベクトル (IV) を使う設計上の弱点があり、通信を集めれば短時間で鍵が解読される。現在は使ってはいけない方式で、WPA2 か WPA3 を使う。

関連: WPA2WPA3

WPA2Wi-Fi Protected Access 2(だぶりゅぴーえーつー)守り方

Wi-Fi Alliance の無線 LAN セキュリティの認定で、AES を使う CCMP で暗号化する。全員が同じパスフレーズを使うパーソナルと、802.1X で 1 人ずつ認証するエンタープライズがある。パーソナルはやり取りを記録されるとオフラインで総当たりされうる。

WPA3Wi-Fi Protected Access 3(だぶりゅぴーえーすりー)守り方

WPA2 の後継の、Wi-Fi Alliance の無線 LAN セキュリティの認定。パーソナルでは事前共有鍵の代わりに SAE を使い、記録したやり取りからパスフレーズをオフラインで試す攻撃を防ぐ。管理フレームの保護 (PMF) も必須になった。

関連: SAEWPA2

X

X-Forwarded-ForX-Forwarded-For(えっくすふぉわーでっどふぉー)ネットワーク

プロキシが、自分に見えた接続元のアドレスを右に書き足していく HTTP ヘッダ。標準化されたものとしては Forwarded ヘッダ (RFC 7239) がある。左側は利用者が自由に書けるので、信頼できるのは自分の管理するプロキシが足した値 (右端側) だけである。

X25519X25519 (ECDH over Curve25519)(えっくすにまんごせんごひゃくじゅうきゅう)暗号・認証

Curve25519 という楕円曲線を使う Diffie-Hellman 鍵交換 (RFC 7748)。公開鍵も共有する秘密も 32 バイト。TLS 1.3 で広く使われ、耐量子の ML-KEM と組み合わせたハイブリッド鍵共有にも使われている。

Z

ZSKZone Signing Key(ぜっとえすけー)暗号・認証

ゾーン署名鍵。DNSSEC で、ゾーン内のふつうのレコードに署名し RRSIG を作る鍵。親ゾーンと調整せずに替えられるので、KSK より短い期間で更新することが多い。鍵を KSK と ZSK に分けるのは、この更新の手間を減らすためである。

ZTNAZero Trust Network Access(ぜっとてぃーえぬえー)守り方

ネットワーク全体ではなくアプリケーション単位で、利用者と端末を確かめてからつなぐ仕組み。社内ネットワークに丸ごと入れるリモートアクセス VPN の代わりに使われる。ゼロトラストを実現する部品の 1 つ。

あ

アクセストークンAccess token(あくせすとーくん)暗号・認証

OAuth で、アプリが API を呼ぶときに見せる、権限の範囲と期限が付いた証明。持っている人ならだれでも使えるベアラートークンが多いので (RFC 6750)、漏えいに注意し、有効期限を短くする。

アノマリ型anomaly-based detection(あのまりがた)守り方

ふだんの通信を基準として学び、そこから外れた通信を怪しいとして検知する方式。未知の攻撃にも気づける可能性があるが、正しい通信の変化も拾うので誤検知が多くなりやすい。異常検出型とも呼ぶ。

暗号化消去cryptographic erase(あんごうかしょうきょ)守り方

データを暗号化して保存しておき、廃棄するときに鍵を消して、残ったデータを読めなくする方法 (NIST SP 800-88 の Cryptographic Erase)。SSD は上書きしきれない領域があるため、物理的な破壊と並ぶ確実な消去方法になる。ファイルの削除だけでは中身が残る。

暗号スイートCipher suite(あんごうすいーと)暗号・認証

TLS で使う暗号アルゴリズムの組み合わせ。TLS 1.3 では TLS_AES_128_GCM_SHA256 のように、認証付き暗号と鍵導出に使うハッシュ関数の組を表し、鍵交換と署名の方式は別の拡張で決める。クライアントが候補を並べ、サーバが 1 つ選ぶ。

暗号利用モードBlock cipher mode of operation(あんごうりようもーど)暗号・認証

ブロック暗号で、ブロックより長いデータを暗号化するときのつなぎ方。ECB・CBC・CTR などは NIST SP 800-38A、改ざん検知も行う GCM は SP 800-38D に定められている。モードの選び方で安全性が大きく変わる。

関連: ECBCBCGCM

アンチパスバックanti-passback(あんちぱすばっく)守り方

入室の記録がないカードでは退室できない (逆も同じ) ようにする入退室管理の仕組み。共連れで入った人は出られなくなるので、共連れを抑止し、発見できる。

関連: 共連れ

暗黙の拒否implicit deny(あんもくのきょひ)守り方

どのルールにも当てはまらない通信を、最後にすべて拒否するという決まり。許可するものだけを並べるホワイトリストの考え方で、ルールに書き忘れた通信を通さない。試験ではルールの順番と合わせて問われる。

痛みのピラミッドPyramid of Pain(いたみのぴらみっど)守り方

検知に使う指標を、攻撃者が変えるときの苦労の順に並べた図 (David Bianco 氏が提唱)。下のハッシュ値・IP アドレスはすぐ変えられ、上の TTP (やり方) ほど変えにくい。上の段で検知するほど攻撃者を困らせられる。

関連: IoCTTP

イングレスフィルタリングingress filtering(いんぐれすふぃるたりんぐ)ネットワーク

ネットワークの入口で、送信元がその方向からはあり得ないパケット (外から来たのに送信元が内部やプライベートアドレスなど) を捨てること。送信元の偽装を防ぎ、DDoS 攻撃のリフレクションの材料を減らす。プロバイダが行うものは BCP 38 (RFC 2827) にまとめられている。

インシデント対応incident response(いんしでんとたいおう)守り方

セキュリティの事故に気づいてから、封じ込め・根絶・復旧・振り返りまでを行う活動。NIST SP 800-61 Rev.2 は準備、検知と分析、封じ込め・根絶・復旧、事後の活動の 4 段階で整理した。2025 年 4 月の Rev.3 は CSF 2.0 に沿ってリスク管理に統合している。

イーサネットEthernet(いーさねっと)ネットワーク

有線 LAN の標準 (IEEE 802.3)。MAC アドレスあてのフレームで、同じネットワークの中の機器にデータを届ける。ヘッダのタイプで中身を示し、0x0800 は IPv4、0x0806 は ARP、0x86DD は IPv6。MTU はふつう 1500 バイト。

エスケープescaping(えすけーぷ)守り方

出力する直前に、特別な意味を持つ記号 (< > & " など) を、文字として表示される形に置き換える処理。クロスサイトスクリプティングの対策。HTML 本文・属性・JavaScript・URL など、出す場所ごとに適した方法を使う。

エニーキャストanycast(えにーきゃすと)守り方

同じ IP アドレスを多くの拠点で広告し、経路上いちばん近い拠点に届ける方式。DDoS 攻撃の通信も多くの拠点に分散して受け止められる。CDN や DNS のルートサーバ・公開 DNS サービスで使われる。

エンタープライズモードEnterprise mode(えんたーぷらいずもーど)守り方

WPA2 / WPA3 で、IEEE 802.1X により利用者や端末を 1 人ずつ ID や証明書で認証するモード。認証は RADIUS サーバが行い、辞めた人だけを止められ、記録も残る。鍵の元 (PMK) も認証ごとに別になる。

オープンリダイレクトopen redirect(おーぷんりだいれくと)守り方

戻り先などの URL を引数で受け取り、確かめずに転送するため、本物のドメインの URL から偽のサイトへ飛ばされてしまう脆弱性。フィッシングに悪用される。転送先を許可リストで確かめる。

か

回線利用率line utilization(かいせんりようりつ)ネットワーク

回線の速さのうち、実際に使われている割合。利用率 = 1 秒あたりに送るビット数 ÷ 回線速度 で求める。帯域を見積もるときは、必要な量を目標の利用率 (例えば 0.7) で割って余裕を持たせる。

鍵交換Key exchange (Diffie-Hellman key exchange)(かぎこうかん)暗号・認証

盗聴されている通信路の上で、2 者が共通鍵暗号に使う同じ秘密の値を作る手順。代表の Diffie-Hellman 鍵交換では、公開された p と g をもとに各自が秘密の数を選び、計算結果だけを見せ合う。安全性の根拠は離散対数問題の難しさ。相手が本物かは確かめられないため、署名や証明書と組み合わせる。

鍵のライフサイクルKey lifecycle(かぎのらいふさいくる)暗号・認証

鍵の生成・配布・保管・使用・更新・失効と廃棄までの一生。段階ごとに、だれが行い、どこに置き、どう渡すかを決めて管理する。秘密鍵は外へ出さない、共通鍵は別経路か鍵交換で、公開鍵は本物と保証する、が原則。NIST SP 800-57 が指針を示す。

関連: CSRKMS失効

拡張ヘッダextension header(かくちょうへっだ)設計

IPv6 で、基本ヘッダ (40 バイト固定) の後ろに必要なときだけつなぐ追加のヘッダ。基本ヘッダの次ヘッダ (Next Header) の値で、次に何が続くかを示す。中継オプション・ルーティング・フラグメント・AH・ESP などがあり、分割は送信元だけがフラグメントヘッダで行う。

関連: IPv6

確認応答acknowledgment (ACK)(かくにんおうとう)ネットワーク

TCP で、受け取った側が「次に欲しいバイトの番号」を ack で返して、ここまで受け取ったことを知らせること。送る側は、確認応答が来ないまま時間切れになると同じデータを送り直す (再送)。異常で接続をその場で打ち切るときは RST を送る。

隠れ端末問題hidden node problem(かくれたんまつもんだい)設計

AP には届くが互いの電波が聞こえない端末どうしが、空いていると判断して同時に送り、AP の所で衝突する問題。RTS/CTS で防ぐ。逆に、隣の送信が聞こえて本当は送れるのに待ってしまうのがさらし端末問題である。

仮想パッチvirtual patching(かそうぱっち)守り方

脆弱性をすぐに修正できないときに、WAF や IPS でその脆弱性を突く通信を止め、修正までの時間を稼ぐこと。すり抜けもあるので一時しのぎであり、アプリケーションやソフトウェア自体の修正が必要である。

関連: WAFパッチ

稼働率availability(かどうりつ)設計

システムが使える状態にある時間の割合。MTBF ÷ (MTBF + MTTR) で求める。年間の停止時間は (1 − 稼働率) × 8760 時間で、0.999 なら約 8.8 時間 (約 526 分) になる。MTTR を縮めても稼働率は上がる。

カプセル化encapsulation(かぷせるか)ネットワーク

送る側で、上の層のデータに各層のヘッダを前に付けて包んでいくこと。HTTP のデータに TCP ヘッダを付けてセグメント、IP ヘッダを付けてパケット、イーサネットのヘッダと FCS を付けてフレームになる。受け取る側は外側から順にはがす (非カプセル化)。

カミンスキー攻撃Kaminsky attack(かみんすきーこうげき)事件

2008 年に Dan Kaminsky 氏が示した、キャッシュ DNS サーバに偽の応答を覚えさせる手法 (CVE-2008-1447)。16 ビットの ID と固定的なポートだけで応答を見分けていた弱さを、繰り返し試せる方法で突いた。対策はソースポートランダマイゼーションと DNSSEC である。

可用性availability(かようせい)守り方

認可されたエンティティが要求したときに、アクセスし使用できる特性 (JIS Q 27000)。DoS 攻撃・故障・ランサムウェアによる暗号化で損なわれ、冗長化やバックアップで守る。意図どおりに動く「信頼性」とは別の特性である。

環境値Environmental Score (Environmental Metrics)(かんきょうち)守り方

CVSS で、自分の組織での資産の重要度や、外から届くかなどの利用環境を反映した評価 (環境評価基準)。同じ脆弱性でも組織ごとに値が変わる。内部からしか届かないという前提は、内部に侵入されると崩れる。

完全性integrity(かんぜんせい)守り方

情報が正確で完全である特性 (JIS Q 27000)。正当な更新を禁じるのではなく、誤り・改ざん・欠落がないことを指す。ハッシュ値やデジタル署名、メッセージ認証コードで改ざんを検知して守る。

管理策control(かんりさく)守り方

リスクを変える (主に下げる) ための対策。JIS Q 27002 (ISO/IEC 27002:2022) は組織・人・物理・技術の 4 テーマに 93 の管理策を示す。起きないようにする予防、起きたことに気づく検知、元に戻す是正のタイプを組み合わせて使う。

基本値Base Score (Base Metrics)(きほんち)守り方

CVSS で、脆弱性そのものの性質を表す評価 (基本評価基準)。時間や環境で変わらない。v3.x では攻撃元区分・攻撃条件の複雑さ・必要な特権レベル・ユーザ関与レベル・スコープと、機密性・完全性・可用性への影響の 8 項目で決まる。

機密性confidentiality(きみつせい)守り方

認可されていない個人・エンティティ・プロセスに、情報を使用させず開示しない特性 (JIS Q 27000)。アクセス制御や暗号化で守る。盗聴や情報の持ち出しで損なわれ、バックアップで復元しても漏れた秘密は取り戻せない。

キャッシュ DNS サーバcaching DNS server / full-service resolver(きゃっしゅでぃーえぬえすさーば)ネットワーク

利用者の端末から再帰問い合わせを受け、ルート → TLD → 各ドメインの権威 DNS サーバへ順にたどって答えを調べるサーバ (フルサービスリゾルバ)。答えを TTL の間キャッシュする。うその答えが入るとその間全員がだまされるので、外部からの問い合わせには答えない (オープンリゾルバにしない)。

脅威ハンティングthreat hunting(きょういはんてぃんぐ)守り方

警告を待たずに、仮説を立てて自分からログや端末を調べ、まだ見つかっていない侵害を探す活動。共有された IoC や ATT&CK の技術を手がかりにする。

境界型防御perimeter-based security(きょうかいがたぼうぎょ)守り方

社内ネットワークは信頼し、インターネットとの境目をファイアウォールなどで守る考え方。テレワークやクラウドの利用で境目があいまいになり、一度内側に入られると内側どうしは信頼しているので被害が広がりやすい。

協調された脆弱性の開示Coordinated Vulnerability Disclosure(きょうちょうされたぜいじゃくせいのかいじ)事件

脆弱性の発見者と開発元・調整機関が事前に連絡を取り合い、修正版の準備ができてから公表するやり方。2008 年の DNS の件では、CERT/CC の注意喚起と同じ日に多くの開発元が修正版を出した。日本では早期警戒パートナーシップがこの調整を担う。

共通鍵暗号Symmetric-key cryptography(きょうつうかぎあんごう)暗号・認証

暗号化と復号に同じ秘密の鍵を使う方式。処理が速いので通信やファイルの中身の暗号化に使う。鍵を相手に安全に渡す方法が課題で、n 人が互いに別々の鍵を持つと n(n−1)/2 個の鍵が要る。

距離ベクトル型distance vector(きょりべくとるがた)設計

隣のルータから「その宛先まで何ホップ (距離) か」を聞き、それに自分からの距離を足して経路を決めるルーティングプロトコルの方式。代表は RIP で、ホップ数 15 までを扱い 16 を到達不能とする (RFC 2453)。全体の地図を持たないので、収束が遅くループも起きやすい。

クリアスクリーンclear screen(くりあすくりーん)守り方

席を離れるときに画面をロックし、一定時間操作がなければ自動でロックするルール。離席中に画面をのぞかれたり、操作されたりするのを防ぐ。

クリアデスクclear desk(くりあですく)守り方

席を離れるときや帰るときに、書類や記録媒体を机の上に出したままにせず、鍵のかかる場所へしまうルール。盗み見・持ち出しを防ぐ物理的・人的な管理策で、クリアスクリーンと組で問われる。

クリックジャッキングclickjacking(くりっくじゃっきんぐ)守り方

別のサイトが本物のページを透明な枠 (iframe) で重ね、利用者に気づかれないまま本物のボタンを押させる攻撃。X-Frame-Options や CSP の frame-ancestors で、ほかのサイトの枠の中に表示させないよう指示する。

クリプトアジリティCrypto agility(くりぷとあじりてぃ)暗号・認証

暗号アルゴリズムを、システム全体を作り直さずに後から差し替えられるようにしておく設計や運用の性質。どこでどの暗号を使っているかの棚卸しとあわせて、耐量子暗号への移行や危殆化した暗号の交換に備える。

クロスサイトスクリプティングCross-Site Scripting(くろすさいとすくりぷてぃんぐ)守り方

利用者の入力をそのまま Web ページに書き出すため、入力がブラウザでタグやスクリプトとして解釈されてしまう脆弱性。ページの改ざんや、利用者の権限での操作につながる。対策は出力先に合ったエスケープで、CSP は追加の防御になる。

経路集約route aggregation / route summarization(けいろしゅうやく)ネットワーク

連続した複数のネットワークを、共通する左側のビットだけを使った 1 つの短いプレフィックスにまとめること。例えば 198.51.100.0/26 から 198.51.100.192/26 の 4 つは 198.51.100.0/24 の 1 行になる。ルーティング表を小さくでき、スーパーネット化とも呼ぶ。

経路ハイジャックBGP route hijacking(けいろはいじゃっく)設計

他人のアドレスの経路を、誤りや悪意で BGP に広告し、通信を自分の AS へ吸い込むこと。より細かいプレフィックスを広告されると、最長一致で正しい経路より優先されてしまう。2008 年には、ある国の通信事業者が誤って広告した経路が広まり、世界中から YouTube に届かなくなった。対策は RPKI による経路の検証と経路フィルタである。

関連: BGPRPKI

権威 DNS サーバauthoritative DNS server(けんいでぃーえぬえすさーば)ネットワーク

あるドメイン (ゾーン) の情報を管理し、そのゾーンについて正式な答えを返す DNS サーバ (コンテンツサーバ)。自分の担当外の名前を調べに行くことはしない。キャッシュ DNS サーバとは役割を分けて置くのが基本である。

現状値Temporal Score (Temporal Metrics)(げんじょうち)守り方

CVSS v3.x で、攻撃コードが出回っているか、公式の修正や回避策があるかなど、時間とともに変わる状況を反映した評価 (現状評価基準)。基本値を超えることはない。v4.0 では脅威評価基準 (Threat) に置き換えられた。

広域イーサネットwide area Ethernet(こういきいーさねっと)設計

事業者の網が大きなスイッチのように働く、レイヤ 2 の WAN のサービス。各拠点のルータは同じネットワークの隣どうしに見える。経路は利用者のルータが OSPF などで交換し、プロトコルや VLAN を自由に設計できる。

公開鍵暗号Public-key cryptography(こうかいかぎあんごう)暗号・認証

だれに見せてもよい公開鍵と、本人だけが持つ秘密鍵の対を使う暗号方式。公開鍵で暗号化したものは対の秘密鍵でしか復号できない。鍵を事前に渡す必要がなく、n 人でも鍵は 2n 個で済むが、処理が遅いので共通鍵暗号と組み合わせて使う。

個人情報保護法Act on the Protection of Personal Information(こじんじょうほうほごほう)守り方

個人情報の取得・利用・提供・管理のルールを定める法律。個人データの漏えい等のうち、要配慮個人情報・財産的被害のおそれ・不正の目的によるおそれ・1,000 人超のいずれかに当たる事態では、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務になる。

さ

再帰問い合わせrecursive query(さいきといあわせ)ネットワーク

「最後まで調べて答えを返して」と頼む問い合わせ。端末のスタブリゾルバがキャッシュ DNS サーバに送る。DNS ヘッダの RD (再帰要求) ビットを立てて送る。頼まれたキャッシュ DNS サーバは、反復問い合わせで権威 DNS サーバを順にたどる。

最小権限の原則principle of least privilege(さいしょうけんげんのげんそく)守り方

利用者やプログラムに、仕事に必要な最小限の権限だけを与えるという原則。アカウントが乗っ取られたり誤操作したりしたときの被害の範囲を小さくする。ゼロトラストや横展開の対策の基本になる。

最長一致longest prefix match(さいちょういっち)ネットワーク

宛先 IP アドレスに複数の経路が一致するとき、プレフィックス長がいちばん長い (いちばん細かい) 経路を選ぶ規則。例えば /24 と /25 の両方に一致すれば /25 を使う。ルーティング表から次のルータを答える問題の基本である。

サイバーキルチェーンCyber Kill Chain(さいばーきるちぇーん)守り方

標的型攻撃を、偵察・武器化・配送・攻撃 (エクスプロイト)・インストール・遠隔操作 (C&C)・目的の実行の 7 段階に分けた考え方 (Lockheed Martin 社)。段階ごとに止める仕組みと気づく仕組みを置き、途中のどこかで断ち切る。

サイバーセキュリティ基本法Basic Act on Cybersecurity(さいばーせきゅりてぃきほんほう)守り方

国のサイバーセキュリティ政策の基本理念と、国・地方公共団体・重要インフラ事業者などの責務を定めた法律 (2014 年成立)。サイバーセキュリティ戦略や、政府の司令塔となる組織の根拠になっている。

サイバーセキュリティ経営ガイドラインCybersecurity Management Guidelines(さいばーせきゅりてぃけいえいがいどらいん)守り方

経済産業省と IPA が示す、経営者向けの指針。経営者が認識すべき 3 原則と、セキュリティ担当の幹部 (CISO など) に指示すべき重要 10 項目をまとめている。セキュリティを担当者まかせにせず、経営の課題として扱うことを求める。

サブネットマスクsubnet mask(さぶねっとますく)ネットワーク

IP アドレスのどこまでがネットワーク部かを、ネットワーク部を 1、ホスト部を 0 にした 32 ビットで表したもの。/26 は 255.255.255.192 になる。端末は宛先にも自分のマスクで AND を取り、同じネットワークなら直接、違えばデフォルトゲートウェイに送る。

サブミッションポートsubmission port(さぶみっしょんぽーと)ネットワーク

利用者のメールソフトが自分の送信サーバにメールを出すときに使う 587 番のポート (RFC 6409)。SMTP 認証で利用者を確かめてから受け付ける。サーバどうしの配送に使う 25 番と分けることで、OP25B の下でもメールを送れる。

関連: SMTPOP25B

差分バックアップdifferential backup(さぶんばっくあっぷ)守り方

前回のフルバックアップから変化したデータを、毎回すべて取るバックアップ。日がたつほど 1 回の量が増えるが、復元にはフルと最後の差分の 2 本だけで済む。毎回すべてを取るフルバックアップより容量は少なく、増分よりは多い。

サプライチェーン攻撃supply chain attack(さぷらいちぇーんこうげき)守り方

標的を直接狙わず、取引先や、使っているソフトウェアの部品・更新の配布元を通じて侵入する攻撃。正規の経路で届くため気づきにくい。作る側はビルド環境を守り、使う側は SBOM・署名・入手元の確認と、権限と通信の最小化で備える。

残留リスクresidual risk(ざんりゅうりすく)守り方

リスク対応をした後に、なお残るリスク。ゼロにはできないので、大きさを評価し、リスク所有者が受け入れを承認して記録する。状況の変化に合わせて定期的に見直す。

サービスチケットService ticket(さーびすちけっと)暗号・認証

Kerberos で TGS が発行する、特定のサービスを使うためのチケット。そのサービスの鍵で暗号化されていて、利用者は中身を読めない。サービスは自分の鍵で復号できるかで、KDC が発行した本物かを確かめる。

関連: TGTKerberos

シェーピングshaping(しぇーぴんぐ)設計

約束した速さを超えた分を、キューにためてあとで送り、出ていく速さを平らにする流量の制御。失われにくいが遅れは増える。契約の帯域を超えて捨てられないよう、利用者側の出口で使う。

シグネチャ型signature-based detection (misuse detection)(しぐねちゃがた)守り方

知られた攻撃の特徴 (シグネチャ) と通信を照らし合わせて検知する方式。誤検知は少ないが、シグネチャのない未知の攻撃は見逃すので、シグネチャの更新が欠かせない。不正検出型とも呼ぶ。

失効Certificate revocation(しっこう)暗号・認証

有効期間が残っている証明書を、秘密鍵の漏えいや記載内容の誤りなどを理由に、期限前に無効にすること。認証局は失効した証明書を CRL に載せたり、OCSP の問い合わせに失効と答えたりして知らせる。

シフトレフトshift left(しふとれふと)守り方

セキュリティを、最後のテストだけでなく、要件定義や設計の早い段階から組み込む考え方。設計で脅威を洗い出し、実装中も自動の検査を回す。後で見つかるほど直す手間が大きくなるためである。

ショアのアルゴリズムShor's algorithm(しょあのあるごりずむ)暗号・認証

1994 年に示された量子計算機のアルゴリズムで、素因数分解と離散対数問題を効率よく解ける。十分な規模の量子計算機ができると RSA や楕円曲線暗号が破られるため、公開鍵暗号を耐量子暗号へ移す理由になっている。

証拠保全evidence preservation(しょうこほぜん)守り方

調査や法的対応のために、ログやディスクなどの証拠を改変せずに確保すること。複製のハッシュ値を記録して同一性を確かめ、取得元・担当者・時刻・方法と受渡しの履歴 (Chain of Custody) を残す。ハッシュの一致は採取前の正しさまでは保証しない。

証明書チェーンCertificate chain(しょうめいしょちぇーん)暗号・認証

サーバ証明書 ← 中間 CA の証明書 ← ルート CA の証明書のように、署名した側をたどってつながる証明書の並び。検証では下から順に署名を確かめ、OS やブラウザの信頼リストにあるルート CA にたどり着ければ成功となる。

関連: ルート CA

ショルダーハッキングshoulder hacking (shoulder surfing)(しょるだーはっきんぐ)守り方

パスワードの入力や画面を、肩越しや背後からのぞき見て情報を盗む手口。のぞき見防止フィルタ、入力時に周囲を確かめること、画面の向きや席の配置で防ぐ。

シングルサインオンSingle Sign-On (SSO)(しんぐるさいんおん)暗号・認証

一度の認証で、複数のシステムやサービスを追加のログインなしで使えるようにする仕組み。SSO と略す。社内では Kerberos、Web では SAML や OpenID Connect で実現する。利便性が高い反面、最初の認証を多要素認証で強くする必要がある。

真正性authenticity(しんせいせい)守り方

利用者・プロセス・情報などが、主張どおりのものであるという特性。なりすましや偽の情報で損なわれ、本人の認証やデジタル署名で確かめる。CIA に加えて挙げられる特性 (真正性・責任追跡性・否認防止・信頼性) の 1 つである。

信頼の連鎖Chain of trust(しんらいのれんさ)暗号・認証

上位が下位の鍵を保証することを繰り返し、出発点の鍵から順にたどって正しさを確かめる構造。DNSSEC では、検証する側が持つルートゾーンの公開鍵 (トラストアンカー) から DS と DNSKEY をたどる。PKI の証明書チェーンも同じ考え方である。

ジッタjitter(じった)ネットワーク

パケットが届く間隔の揺れ。音声では、受け取ったパケットをジッタバッファに少し貯めてから一定の間隔で再生して吸収する。貯めすぎるとその分遅れるので、片道の遅延は 150 ミリ秒以内が目安とされる (ITU-T G.114)。

関連: RTPIP 電話

シーケンス番号sequence number(しーけんすばんごう)ネットワーク

TCP で、送るデータが何バイト目から始まるかを表す 32 ビットの番号。受け取る側は順番を並べ直し、抜けや重複を見つけるのに使う。初期値は接続ごとに予測しにくい値から始める。

推移的な依存transitive dependency(すいいてきないぞん)守り方

自分で直接入れたライブラリが、さらに使っている部品への依存。自分で入れた覚えがなくても実行環境に含まれる。Log4j のように「部品の部品」として入った脆弱性は見落としやすいので、SBOM で依存関係ごと把握する。

関連: SBOMLog4j

スイッチswitch(すいっち)ネットワーク

フレームの送信元 MAC アドレスと受けたポートを MAC アドレステーブルに学習し、宛先 MAC アドレスのポートだけに転送する機器 (L2 スイッチ)。表にない宛先やブロードキャストはフラッディングする。しばらく使われない項目はエージングで消す (よく使われる設定は 300 秒)。

ステータスコードHTTP status code(すてーたすこーど)ネットワーク

HTTP のレスポンスで、結果の種類を表す 3 桁の番号。1xx 情報、2xx 成功、3xx リダイレクト、4xx クライアント側の誤り、5xx サーバ側の誤り。200 は成功、301 は恒久的な移転 (Location ヘッダが移転先)、404 は見つからない、500 はサーバ内部のエラー。

関連: HTTP

ステートフルインスペクションstateful inspection(すてーとふるいんすぺくしょん)守り方

内部から始めた接続の状態を表に覚え、その戻りのパケットだけを通すファイアウォールの方式。表にない、頼んでいないパケットは捨てるので、戻りのために広い範囲のポートを開けておかなくて済む。

ストレッチングKey stretching(すとれっちんぐ)暗号・認証

パスワードのハッシュ計算を何万回も繰り返し、1 回の検証にわざと時間をかける工夫。本人のログインは 1 回だけなので負担は小さいが、漏れたハッシュ値への総当たりは大幅に遅くなる。PBKDF2 などで行う。

スロースタートslow start(すろーすたーと)設計

TCP の通信の始めや、タイムアウトのあとに、輻輳ウィンドウを小さく始め、1 往復 (RTT) ごとに約 2 倍に増やす動き。しきい値 (ssthresh) に達したら輻輳回避に移る。名前に反して、増え方は指数的で速い。

責任共有モデルshared responsibility model(せきにんきょうゆうもでる)設計

クラウドの安全を、事業者と利用者で分け合う考え方。事業者は設備や基盤を、利用者は自分のデータ・アカウント・アクセス権・設定を守る。IaaS・PaaS・SaaS で境目は動くが、データとアクセス権の設定はいつも利用者の責任で、保存場所の公開設定の誤りによる漏えいが多い。

責任追跡性accountability(せきにんついせきせい)守り方

ある行為を、それを行った主体まで一意に追跡できる特性。利用者ごとの ID と監査ログで支えるが、ログがあるだけでは足りない。共有アカウントを避けて ID と主体を対応させ、ログ自体の改ざんも防ぐ必要がある。

セキュリティグループsecurity group(せきゅりてぃぐるーぷ)設計

クラウドで、サーバ (のネットワークインタフェース) ごとに付ける仮想のファイアウォール。許可のルールだけを書く。状態を覚える (ステートフル) ので、許可した通信の戻りは自動で通す。ネットワーク ACL と重ねて使う。

セグメントsegment(せぐめんと)ネットワーク

トランスポート層 (第 4 層) の TCP で運ぶデータの単位。アプリのデータに TCP ヘッダを付けたもので、IP ヘッダを付けるとパケットになる。1 つのセグメントで運ぶデータの最大の大きさが MSS である。

セッション維持session persistence(せっしょんいじ)設計

同じ利用者の要求を、いつも同じサーバに送り続けるロードバランサの機能 (パーシステンス)。送信元 IP アドレスや Cookie で相手を見分ける。その台が止まるとセッションも消えるので、ログイン状態などは共有の保存場所に置く方が安全である。

セッション固定化session fixation(せっしょんこていか)守り方

攻撃者が用意したセッション ID のまま利用者にログインさせ、そのセッション ID で本人になりすます攻撃。ログインに成功したらセッション ID を新しく振り直すことが対策で、ログイン前の ID は使えなくなる。

セッションハイジャックsession hijacking(せっしょんはいじゃっく)守り方

ログイン状態を表すセッション ID を盗んだり推測したりして、本人になりすます攻撃。セッション ID を推測できない乱数で作り、HTTPS だけで送り、Cookie に Secure・HttpOnly 属性を付けて守る。

専用線leased line(せんようせん)設計

2 拠点の間の回線を占有して使う WAN のサービス。帯域が保証され、ほかの利用者と共有しないので品質と安全性は高いが、費用が高く、拠点が増えると線の数も増える。

関連: WANIP-VPN

脆弱性vulnerability(ぜいじゃくせい)守り方

脅威につけこまれうる、資産や管理策の弱点。ソフトウェアの欠陥のほか、設定の誤り・運用の不備・復旧手段の不足も含む。ソフトウェアの脆弱性は CVE 番号で識別し、CVSS で深刻度を表す。

脆弱性管理vulnerability management(ぜいじゃくせいかんり)守り方

資産の把握・情報収集・評価 (優先順位付け)・修正の適用・確認を、決まった手順で繰り返し回すこと。台帳に無い機器は更新されないので、まず資産とソフトウェアの版を把握する。優先順位は CVSS に加え、悪用の有無や外部への公開状況で決める。

ゼロデイzero-day(ぜろでい)守り方

修正版が出る前、または脆弱性が公表される前から、その脆弱性が悪用されている状態。修正版を当てる時間がないので、公開範囲の限定・多層防御・振る舞いの検知・被害を小さくする設計で備える。

ゼロトラストzero trust(ぜろとらすと)守り方

ネットワーク上の場所だけでは信頼せず、アクセスのたびに、だれが・どの端末で・何にアクセスするかを確かめ、必要な権限だけを与える考え方 (NIST SP 800-207)。侵入されている前提で、被害を小さく保つことを目指す。

前方秘匿性Forward secrecy(ぜんぽうひとくせい)暗号・認証

長期に使う秘密鍵が将来漏れても、過去に記録された通信を解読できない性質。接続ごとに使い捨ての鍵で鍵交換 (DHE / ECDHE) し、使い終わった鍵を捨てることで得られる。RSA で共通鍵を運ぶ方式では得られない。

早期警戒パートナーシップInformation Security Early Warning Partnership(そうきけいかいぱーとなーしっぷ)守り方

ソフトウェア製品と Web サイトの脆弱性について、IPA が届出を受け付け、JPCERT/CC が開発者と調整して対策情報を JVN で公表する、日本の公的な枠組み。修正の準備ができる前に情報が広まらないようにする協調的な開示の仕組みである。

ソルトSalt(そると)暗号・認証

パスワードをハッシュ化する前に混ぜる、利用者ごとに異なる乱数。同じパスワードでも保存されるハッシュ値が変わるので、事前に計算した表 (レインボーテーブル) による照合を無効にする。秘密にする必要はなく、ハッシュ値と一緒に保存する。

増分バックアップincremental backup(ぞうぶんばっくあっぷ)守り方

前回のバックアップ (フルか増分) から変化したデータだけを取るバックアップ。容量と取る時間は最も少ないが、復元にはフルとその後のすべての増分を順に当てる必要があり、1 本でも欠けると戻せない。

ソーシャルエンジニアリングsocial engineering(そーしゃるえんじにありんぐ)守り方

人の親切さや、急いでいる・権威に従う気持ちにつけ込んで、パスワードなどを聞き出したり建物に入り込んだりする手口の総称。なりすまし電話・のぞき見・共連れなどがある。登録済みの番号に折り返すなど、手順を決めて例外を作らないことで防ぐ。

ソースポートランダマイゼーションsource port randomization(そーすぽーとらんだまいぜーしょん)事件

キャッシュ DNS サーバが問い合わせの送信元ポート番号を毎回乱数にする対策。16 ビットの ID と合わせて当てるべき組み合わせが約 42 億通りに増え、偽の応答が受け入れられにくくなる。ゼロにはならないため、DNSSEC と組み合わせる。

た

帯域遅延積Bandwidth-Delay Product (BDP)(たいいきちえんせき)設計

回線の帯域 × RTT。回線を使い切るのに必要な、送ったまま応答を待つデータの量 (ウィンドウ) である。スループットの上限はウィンドウ ÷ RTT。TCP ヘッダのウィンドウは 16 ビット (最大 65,535 バイト) なので、それを超えるにはウィンドウスケール (RFC 7323) で広げる。

耐量子暗号Post-Quantum Cryptography (PQC)(たいりょうしあんごう)暗号・認証

大きな量子計算機ができても破られにくいとされる、新しい公開鍵暗号。ポスト量子暗号、PQC とも呼ぶ。いま記録した通信を将来解読される脅威に備え、鍵交換から先に移行する。NIST が 2024 年に ML-KEM・ML-DSA・SLH-DSA を標準にした。

多段階認証Multi-step authentication(ただんかいにんしょう)暗号・認証

認証を複数の段階に分けて行うこと。段階の数だけを指し、要素の種類は問わない。パスワードの後に秘密の質問を聞くのは 2 段階だが、どちらも知識なので多要素認証ではない。試験では多要素認証との違いがよく問われる。

多要素認証Multi-Factor Authentication (MFA)(たようそにんしょう)暗号・認証

知識 (パスワード)・所持 (スマホや IC カード)・生体 (指紋や顔) の 3 要素のうち、異なる種類を 2 つ以上組み合わせる認証。パスワードを 2 回聞くように同じ種類を重ねても多要素にはならない。MFA とも呼ぶ。

単一障害点Single Point of Failure (SPOF)(たんいつしょうがいてん)設計

そこが 1 か所止まるだけで、システム全体が止まってしまう部分。ゲートウェイのルータ、1 本しかない回線、電源などが典型である。機器や回線を 2 重にして取り除くが、同じ電源・同じ経路を通るなど、見えにくい共通部分にも注意する。

ダイクストラ法Dijkstra's algorithm(だいくすとらほう)設計

重み付きのグラフで、1 点から各点への最短経路を求める手順。未確定の点のうち距離が最小のものを確定し、その隣の距離を短くなるなら書き換える、を繰り返す。OSPF の最短経路 (SPF) の計算に使い、結果は自分を根とする最短経路の木になる。

関連: OSPFLSA

ダイナミック ARP インスペクションDynamic ARP Inspection(だいなみっくあーぷいんすぺくしょん)守り方

スイッチが、信頼しないポートから届いた ARP の IP アドレスと MAC アドレスの対応を、信頼できる対応情報と照合し、合わないものを捨てる機能。DHCP スヌーピングの記録を使い、固定 IP の機器には別に対応情報を登録する。ARP の偽装を LAN の中で止める。

楕円曲線暗号Elliptic Curve Cryptography (ECC)(だえんきょくせんあんごう)暗号・認証

楕円曲線の上の点の計算を使う公開鍵暗号。RSA より短い鍵で同程度の安全性が得られる。鍵交換の ECDH (X25519 など) や署名の ECDSA・EdDSA に使われる。量子計算機のショアのアルゴリズムでは破られるおそれがある。

関連: X25519ECDHE

チャレンジレスポンス認証Challenge-response authentication(ちゃれんじれすぽんすにんしょう)暗号・認証

サーバが毎回違う乱数 (チャレンジ) を送り、クライアントが秘密の情報を使って計算した応答 (レスポンス) を返して本人を確かめる方式。秘密そのものは送らず、応答は毎回変わるので、盗んだ応答を再送しても通らない。

重複 ACKduplicate ACK(ちょうふくあっく)設計

途中のセグメントが失われると、受信側は届いた所までの同じ確認応答を繰り返し返す。同じ ACK が 3 つ重複して届いたら、タイムアウトを待たずに再送する (高速再送)。後ろは届いているので軽い輻輳とみて、輻輳ウィンドウを半分にして続ける。タイムアウトなら 1 からスロースタートをやり直す。

直列と並列series and parallel systems(ちょくれつとへいれつ)設計

稼働率の組み合わせの計算。直列 (全部が動く必要がある) は稼働率の掛け算で、つなぐほど下がる。並列 (どれか 1 つが動けばよい) は 1 − (1 − A1)(1 − A2) で上がる。0.99 の 2 台なら直列 0.9801、並列 0.9999 である。3 台中 2 台などは場合を足し合わせる。

定性的リスク分析qualitative risk analysis(ていせいてきりすくぶんせき)守り方

起こりやすさと影響を「高・中・低」などの段階で見積もり、リスクマトリックスで掛け合わせて大きさを比べる分析。手早く全体を見渡せるが、点数の付け方は組織の決めごとであり、金額での比較はできない。

定量的リスク分析quantitative risk analysis(ていりょうてきりすくぶんせき)守り方

損失を金額で見積もる分析。1 回あたりの損失 SLE と、年間の予想損失 ALE を計算し、対策の前後の ALE の差と対策費を比べて費用対効果を判断する。信用など金額にしにくい損失は別に考える。

適用宣言書Statement of Applicability(てきようせんげんしょ)守り方

ISMS で、附属書 A の管理策のそれぞれについて、採用したか・しなかったかと、その理由をまとめた文書。リスク対応の結果を説明する根拠になり、認証審査でも確認される。

ディレクトリトラバーサルdirectory traversal (path traversal)(でぃれくとりとらばーさる)守り方

利用者が指定したファイル名をそのままパスに使うため、基準のフォルダの外にあるファイルを読まれる脆弱性。パスを正規化してから基準のフォルダの中かを確かめるか、ファイル名ではなく ID で指定させる。

関連: 入力検証

出口対策egress filtering(でぐちたいさく)守り方

侵入されることを前提に、内部から外部への通信を必要な宛先だけに絞り、監視する対策。マルウェアの遠隔操作や、外からのコードの取り寄せ、データの持ち出しを止めたり気づいたりできる。Log4Shell では、サーバの外向きの通信を絞っていれば取り寄せの段階で止まった。

デジタル証明書Digital certificate (public key certificate)(でじたるしょうめいしょ)暗号・認証

「この公開鍵はこの名前の持ち主のものだ」という内容に、認証局 (CA) が署名した電子文書。形式は X.509 (RFC 5280)。発行先・発行者・有効期間・公開鍵・CA の署名を含み、受け取った側は CA の公開鍵で署名を検証する。

デジタル署名Digital signature(でじたるしょめい)暗号・認証

送る人が自分の秘密鍵で作り、だれでも送る人の公開鍵で検証できる値。改ざんの検知と、だれが作ったかの確認ができ、秘密鍵は本人しか持たないので否認防止にもなる。実際にはメッセージのハッシュ値に対して署名する。

デフォルトゲートウェイdefault gateway(でふぉるとげーとうぇい)ネットワーク

端末が、自分と別のネットワークあてのパケットを渡す最寄りのルータ。宛先 IP アドレスは最後の相手のまま、宛先 MAC アドレスだけをこのルータにして送る。DHCP でアドレスやサブネットマスクと一緒に配られることが多い。

デフォルトルートdefault route(でふぉるとるーと)ネットワーク

0.0.0.0/0 で表す、どの宛先にも一致する経路。プレフィックス長が 0 で最も短いので、ほかに一致する経路がないときだけ使われる。社内のルータでは、インターネット側 (プロバイダ) へのルータを次の行き先にすることが多い。

伝送効率transmission efficiency(でんそうこうりつ)ネットワーク

回線の速さのうち、実際にデータを運ぶのに使える割合。ヘッダや制御のやり取りなどの分だけ 1 より小さくなる。伝送時間の計算では、回線速度に伝送効率を掛けた値でデータ量を割る。

伝送時間transmission time(でんそうじかん)ネットワーク

データを回線で送り終えるまでの時間。伝送時間 = データ量 (ビット) ÷ (回線速度 × 伝送効率) で求める。データ量はバイトで書かれることが多いので 8 を掛けてビットにし、k と M の桁と答えの単位 (秒かミリ秒か) を最後に確かめる。

データポイズニングdata poisoning(でーたぽいずにんぐ)守り方

学習データに偽のラベルや細工したデータを混ぜ、モデルの判定を攻撃者の望む方向へ変える攻撃。学習データの出どころと変更の記録を管理し、学習の前後で結果を比べて確かめる。

共連れtailgating (piggybacking)(ともづれ)守り方

認証して入る人のすぐ後ろについて、自分は認証せずに入室すること (テールゲーティング・ピギーバック)。アンチパスバックや、1 人ずつしか通れないゲート、入退室ログの照合で防ぐ・気づく。

トランスポートモードtransport mode(とらんすぽーともーど)守り方

IPsec で、元の IP ヘッダはそのまま残し、その後ろの中身 (ペイロード) だけを守るモード。新しいヘッダが付かない分だけ小さいが、送信元と宛先のアドレスは見える。端末どうしが直接 IPsec で通信するときに使う。

トンネルモードtunnel mode(とんねるもーど)守り方

IPsec で、元の IP パケットを IP ヘッダごと暗号化して包み、VPN 装置どうしのアドレスを書いた新しい IP ヘッダを付けるモード。途中からは内側のアドレスが見えない。拠点間 VPN で使う。

トークンバケットtoken bucket(とーくんばけっと)設計

一定の速さでトークンがたまるバケツを考え、トークンがある分だけ送ってよいとする流量の制御の仕組み。バケツの大きさまでの一時的な突発 (バースト) は許し、平均の速さは約束した値に抑える。ポリシングやシェーピングの判定に使う。

な

名古屋港統一ターミナルシステムNagoya United Terminal System(なごやこうとういつたーみなるしすてむ)事件

名古屋港の 5 つのコンテナターミナルと集中管理ゲートが共通で使う、コンテナの搬入・搬出を管理するシステム (NUTS)。2023 年 7 月 4 日にランサムウェアで停止し、約 3 日間搬入・搬出が止まった。国土交通省の委員会は、ログも暗号化されて経路は断定できなかったが、保守用 VPN 機器からの侵入と見るのが適切とした。

偽アクセスポイントevil twin (rogue access point)(にせあくせすぽいんと)守り方

正規と同じ SSID を名乗る、攻撃者が用意したアクセスポイント。つないだ端末の通信を中継して盗み見たり、ID とパスワードを入力させたりする。EAP-TLS などでサーバ証明書を確かめることが対策になる。

関連: EAP-TLSSSID

入力検証input validation(にゅうりょくけんしょう)守り方

入力が、決めた形 (文字の種類・長さ・範囲) に合うかを確かめ、合わないものは受け付けない処理。許可する形を決める方式 (許可リスト) が基本。ブラウザ側の確認は使いやすさのためで、迂回できるので、サーバ側で必ず確かめる。

認可コードフローAuthorization code flow(にんかこーどふろー)暗号・認証

OAuth の代表的な流れ。利用者が認可サーバで同意すると、ブラウザ経由でアプリに認可コードが渡り、アプリはそれを裏の通信でアクセストークンに交換する。現在は PKCE と組み合わせて使うのが推奨される。

認証局Certificate Authority (CA)(にんしょうきょく)暗号・認証

申請者を確かめて、その公開鍵に対する証明書に署名して発行する信頼された第三者。CA と略す。証明書は CA の秘密鍵で署名され、利用者は CA の公開鍵で検証する。秘密鍵が漏れたときなどは証明書を失効させる。

認証付き暗号Authenticated Encryption with Associated Data (AEAD)(にんしょうつきあんごう)暗号・認証

暗号化 (機密性) と改ざん検知 (完全性) を 1 つの処理で同時に提供する暗号方式。AEAD とも呼ぶ。代表は AES-GCM と ChaCha20-Poly1305。TLS 1.3 では認証付き暗号だけが使える。

関連: GCMTLS 1.3

ネットワークアドレスnetwork address(ねっとわーくあどれす)ネットワーク

ホスト部をすべて 0 にした、ネットワークそのものを表すアドレス。IP アドレスとサブネットマスクの AND で求める。例えば 192.0.2.77/26 のネットワークアドレスは 192.0.2.64 で、端末には付けない。

ネットワーク ACLnetwork Access Control List(ねっとわーくえーしーえる)設計

クラウドで、サブネットごとに付ける通信のフィルタ。許可と拒否を書け、番号の小さいルールから順に当てる。状態を覚えない (ステートレス) ので、戻りの通信 (クライアント側の一時的なポート、例 1024〜65535) も出口で許可しないと、応答だけが捨てられる。

ネットワーク部network part(ねっとわーくぶ)ネットワーク

IP アドレスのうち、どのネットワークかを表す左側の部分。長さはプレフィックス長 (/26 なら左から 26 ビット) で表す。アドレスとサブネットマスクの AND を取ると、ネットワーク部だけが残ったネットワークアドレスになる。

年間発生率Annualized Rate of Occurrence(ねんかんはっせいりつ)守り方

リスクが 1 年に起きると見込む回数。2 年に 1 回なら 0.5、10 年に 1 回なら 0.1 である。SLE に掛けると ALE になる。起こりやすさを下げる対策で、この値が下がる。

関連: ALESLE

は

ハイブリッド鍵共有Hybrid key exchange(はいぶりっどかぎきょうゆう)暗号・認証

従来の鍵交換 (X25519 など) と耐量子の ML-KEM を同時に行い、両方の結果を組み合わせて鍵を作る方式。どちらか一方が破られても安全が保たれる。TLS 1.3 では X25519MLKEM768 として主要なブラウザやサーバで使われている。

ハッシュ関数Cryptographic hash function(はっしゅかんすう)暗号・認証

任意の長さの入力から決まった長さの値 (ハッシュ値) を作る関数。暗号に使うものには、値から入力を求められない原像計算困難性と、同じ値になる別の入力を見つけられない衝突困難性などが求められる。鍵を使わないので、だれでも計算できる。

反復問い合わせiterative query(はんぷくといあわせ)ネットワーク

キャッシュ DNS サーバが、ルートサーバ・TLD のサーバ・各ドメインの権威 DNS サーバへ順に問い合わせ、紹介 (次に聞く先) をたどって答えにたどり着く方法。聞かれたサーバは自分の知っている範囲だけを答える。

暴露係数Exposure Factor(ばくろけいすう)守り方

リスクが 1 回起きたときに、資産価値のうち失われる割合 (0〜100%)。資産価値に掛けると SLE になる。対策で被害の広がりを抑えると、この値が下がる。

関連: SLEALE

バッファオーバーフローbuffer overflow(ばっふぁおーばーふろー)守り方

確保したメモリ領域より長いデータを、長さを確かめずに書き込み、隣の領域を上書きしてしまう欠陥。戻り先などを書き換えられると別の処理を実行されるおそれがある。長さの確認、メモリ安全な言語、OS の防御機能 (ASLR・DEP など) を組み合わせる。

パケットpacket(ぱけっと)ネットワーク

ネットワーク層 (第 3 層) で運ぶデータの単位で、IP ヘッダの付いたもの。送信元と宛先の IP アドレスは途中のルータを越えても変わらない (NAT がない場合)。一般には、ネットワークを流れるデータのかたまり全般をパケットと呼ぶこともある。

パケットフィルタリングpacket filtering(ぱけっとふぃるたりんぐ)守り方

パケットのヘッダにある送信元・宛先の IP アドレス、プロトコル、ポート番号などをルールと照らし、通すか捨てるかを決める方式。ルールは上から順に見て、最初に当てはまったものを使う。

パスキーPasskey(ぱすきー)暗号・認証

FIDO2 の仕組みで、パスワードの代わりにサイトごとの公開鍵の鍵ペアでログインする認証方式。秘密鍵は端末の中に置き、サーバには公開鍵だけを登録する。署名にはサイトの名前とオリジンが結び付くため、偽サイトでは使えずフィッシングに強い。

関連: FIDO2

パスワードリスト攻撃Credential stuffing(ぱすわーどりすとこうげき)暗号・認証

どこかのサービスから漏れた ID とパスワードの組を、別のサービスのログインで試す攻撃。パスワードの使い回しにつけ込む。利用者側の対策はサービスごとに違うパスワードにすることと多要素認証、サービス側は多要素認証や不審なログインの検知である。

パッチpatch (security update)(ぱっち)守り方

ソフトウェアの脆弱性や不具合を直すための修正プログラム。検証環境で試し、バックアップを取ってから当て、当てた後は版の確認や再スキャンで当て漏れを確かめる。パッチは過去の侵入を消さないので、侵入の痕跡も確認する。

パリティparity check(ぱりてぃ)設計

データの 1 の数が偶数 (偶数パリティ) または奇数 (奇数パリティ) になるよう 1 ビットを足して送る誤り検出。1 ビットの誤りは見つかるが、どのビットかは分からず、2 ビットの誤りは見逃す。

パーソナルモードPersonal mode (PSK)(ぱーそなるもーど)守り方

WPA2 / WPA3 で、全員が同じパスフレーズ (事前共有鍵) で接続するモード。家庭や小規模向け。1 人が辞めると全員のパスフレーズを変える必要があり、だれが接続したかの記録も個人単位では残らない。

ハートビート拡張TLS/DTLS Heartbeat Extension(はーとびーとかくちょう)事件

TLS・DTLS で、相手が送ったデータをそのまま送り返してもらい、接続が生きているかを確かめる拡張 (RFC 6520)。要求にはデータの長さが書かれており、受け手はそれが実際の長さと合うかを確かめなければならない。この確認の欠落が Heartbleed の原因である。

否認防止non-repudiation(ひにんぼうし)守り方

ある事象や行為が起きたことと、それを起こした主体を、後から証明できるようにすること。送信者が「送っていない」と言い逃れできないよう、デジタル署名やタイムスタンプ、保護された記録で支える。共通鍵を双方が持つメッセージ認証コードでは、どちらが作ったか区別できないので実現できない。

標的型メールtargeted attack email(ひょうてきがためーる)守り方

特定の組織や人を狙い、業務に関係がありそうな件名や添付ファイルで開かせ、マルウェアに感染させるメール。見分ける教育と開封の訓練を定期的に行い、怪しいと思ったらすぐ報告できる職場にする。

ビジネスメール詐欺Business Email Compromise(びじねすめーるさぎ)守り方

取引先や経営者になりすましたメールで、振込先の変更や送金を指示してお金をだまし取る詐欺 (BEC)。正規のアカウントが乗っ取られている場合もあり、メール認証では指示の正しさまでは分からない。登録済みの連絡先など別経路で確かめ、変更と承認の担当を分ける。

ビット誤り率Bit Error Rate (BER)(びっとごりつ)設計

伝送したビットのうち、誤って届くビットの割合 (BER)。n ビットのフレームが壊れる確率は 1 − (1 − ビット誤り率)^n になる。誤り率が小さくても、フレームが長いと壊れる割合は無視できない。

ファイアウォールfirewall(ふぁいあうぉーる)守り方

ネットワークの境目に置き、決めたルールに従って通信を通すか捨てるかを決める装置やソフトウェア。基本は IP アドレスとポート番号で判断する。通信の中身を見る IDS・IPS や、HTTP の中身を見る WAF とは見る所が違う。

フィッシングphishing(ふぃっしんぐ)守り方

実在のサービスをかたるメールや SMS で偽サイトへ誘導し、ID・パスワード・ワンタイムパスワードなどを入力させて盗む手口。URL として解析したホスト名を確かめ、既知のブックマークから入る。OTP 型の多要素認証だけでは防ぎきれず、パスキーのようなフィッシングに強い認証が有効。

封じ込めcontainment(ふうじこめ)守り方

インシデントの被害が広がらないよう、端末のネットワーク隔離、アカウントの停止、セッションの失効などを行う段階。消えやすい証拠を保全するため電源は可能なら維持するが、被害の広がりとの兼ね合いで判断する。その後に原因の根絶と復旧を行う。

フォワードプロキシforward proxy(ふぉわーどぷろきし)ネットワーク

社内の端末の代わりに Web のページを取りに行くサーバ。キャッシュ・URL による閲覧の制御・アクセスの記録ができ、外から見えるのはプロキシのアドレスだけになる。HTTPS は CONNECT でトンネルを作るので、TLS をほどかない限りプロキシに分かるのは宛先の名前とポートまでである。

フォールスネガティブfalse negative(ふぉーるすねがてぃぶ)守り方

実際の攻撃や不正を、正常と判定して見逃すこと。しきい値を上げると誤検知は減るが見逃しが増え、両方を 0 にはできないので運用で調整する。未知の攻撃に対するシグネチャ型で起きやすい。

フォールスポジティブfalse positive(ふぉーるすぽじてぃぶ)守り方

正常な通信やファイルを、誤って攻撃や不正と判定すること (誤検知)。しきい値を下げると見逃しは減るが誤検知が増える。IPS では正しい通信まで止めてしまい、多すぎると本当の警告が埋もれる。アノマリ型で起きやすい。

輻輳ウィンドウcongestion window (cwnd)(ふくそうういんどう)設計

TCP の送信側が、網の混み具合を見積もって持つ「確認応答を待たずに送ってよい量」(cwnd)。実際に送れる量は、受信側が知らせる受信ウィンドウと輻輳ウィンドウの小さい方になる。

輻輳回避congestion avoidance(ふくそうかいひ)設計

輻輳ウィンドウがしきい値を超えたあと、1 往復ごとに 1 セグメントずつ、ゆっくり増やす動き。ロスが起きるまで線形に増やし、ロスで減らす (加算的増加・乗算的減少)。

輻輳制御congestion control(ふくそうせいぎょ)設計

途中のルータのキューがあふれてパケットが捨てられる輻輳を避けるため、TCP の送信側が送る量を調整する仕組み (RFC 5681)。スロースタートと輻輳回避で増やし、ロスで減らす。今の OS では CUBIC (RFC 9438) や、帯域と RTT を測る BBR も使われる。

不正アクセス禁止法Act on the Prohibition of Unauthorized Computer Access(ふせいあくせすきんしほう)守り方

他人の ID とパスワードの無断入力や、脆弱性を突いてアクセス制御を免れる不正アクセス行為を禁じる法律。他人の ID などの不正取得・無断提供・不正保管や、偽のログイン画面で入力させる行為 (フィッシング) も禁止している。許可なく他人のシステムで試すことも違法になりうる。

不正指令電磁的記録に関する罪Crimes Related to Unauthorized Commands in Electronic or Magnetic Records(ふせいしれいでんじてききろくにかんするつみ)守り方

正当な理由なく、使う人の意図に反して動くプログラム (ウイルスなど) を作成・提供・供用・取得・保管する行為を罰する刑法の規定。通称「ウイルス作成罪」。不正アクセス禁止法とは別に、マルウェアそのものを扱う行為を対象にする。

フラグメントfragmentation(ふらぐめんと)ネットワーク

MTU を超える IPv4 パケットを小さなかけらに分割すること、またはそのかけら。各かけらに IP ヘッダが付き、元のどこからかを 8 バイト単位のオフセットで、続きがあるかを MF フラグで示す。組み立てるのは最後の受け手だけで、1 つでも失われると全体が捨てられる。IPv6 では途中のルータは分割しない。

フラッディングflooding(ふらっでぃんぐ)ネットワーク

スイッチが、MAC アドレステーブルにまだない宛先のフレームを、受けたポート以外の全ポートへ流すこと。宛先の機器が返事をすると、その送信元 MAC アドレスを学習するので、以後はそのポートだけに送れるようになる。

フレームframe(ふれーむ)ネットワーク

データリンク層 (第 2 層) で運ぶデータの単位。イーサネットでは宛先・送信元の MAC アドレスとタイプからなる 14 バイトのヘッダと、末尾の誤り検出用の FCS 4 バイトが付く。ルータを越えるたびに、隣の機器あての新しいフレームに付け替えられる。

フローテーブルflow table(ふろーてーぶる)設計

SDN のスイッチが持つ、優先度・一致条件 (宛先や送信元のアドレス、ポートなど)・動作 (転送・破棄など) を並べた表。優先度の高いエントリから順に当て、どれにも合わないパケットはコントローラに問い合わせる設定が一般的である。

関連: SDN

ブロードキャストbroadcast(ぶろーどきゃすと)ネットワーク

同じネットワークの全員に届ける送り方。ARP の要求や DHCP の Discover のように、相手やアドレスがまだ分からないときに使う。スイッチは全ポートに流すが、ルータは越えないので、ブロードキャストが届く範囲 (ブロードキャストドメイン) は VLAN やルータで区切られる。

ブロードキャストアドレスbroadcast address(ぶろーどきゃすとあどれす)ネットワーク

ホスト部をすべて 1 にした、そのネットワークの全員あてのアドレス。例えば 192.0.2.64/26 では 192.0.2.127 になり、端末には付けない。MAC アドレスでは ff:ff:ff:ff:ff:ff が全員あてである。

ブロードキャストストームbroadcast storm(ぶろーどきゃすとすとーむ)設計

スイッチの間にループがあると、ブロードキャストが複製されながら回り続け、帯域とスイッチの処理を使い切る現象。イーサネットのフレームには TTL が無いので自然には消えない。STP でループを断つか、ループを作らない設計で防ぐ。

ブロードキャストドメインbroadcast domain(ぶろーどきゃすとどめいん)設計

ブロードキャストのフレームが届く範囲。スイッチ (L2) はブロードキャストを全ポートへ流し、ルータ (L3) は越えない。広すぎると不要な処理と盗聴されうる範囲が増えるので、VLAN で分けて小さくする。

プライベートアドレスprivate address(ぷらいべーとあどれす)ネットワーク

組織の中で自由に使える IPv4 アドレスの範囲で、10.0.0.0/8・172.16.0.0/12・192.168.0.0/16 (RFC 1918)。インターネットへはそのまま出せないので、NAPT で変換する。インターネットから届くパケットの送信元にはあり得ないので、入口で捨てる対象になる。

プレフィックス長prefix length(ぷれふぃっくすちょう)ネットワーク

IP アドレスの後ろに /24 のように書く、ネットワーク部のビット数。CIDR の表記で、クラスに縛られずに区切れる。1 ビット短くするとアドレスの数は 2 倍になり、/24 なら端末に使えるのは 254 個、/26 なら 62 個である。

プレースホルダplaceholder (bind variable)(ぷれーすほるだ)守り方

SQL 文の中の値の場所を記号で空けておき、値は別に渡す仕組み。値はあくまで値として扱われ、文の一部として解釈されないので、SQL インジェクションの根本対策になる。値を渡すことをバインドと呼ぶ。表名など文の構造は別に管理する。

プロンプトインジェクションprompt injection(ぷろんぷといんじぇくしょん)守り方

LLM への入力に指示を紛れ込ませ、本来の指示に反する動作をさせる攻撃。利用者が直接入れる直接型と、LLM が読み込む外部の文書やメールに紛れた指示で道具を動かす間接型がある。文面の工夫だけでは防ぎきれず、道具の権限の最小化と人の承認を LLM の外側のプログラムで行う。

関連: LLMRAG

ヘッダheader(へっだ)ネットワーク

データの前に付ける制御情報。宛先・送信元のアドレスやポート番号、中に何が入っているか (イーサネットのタイプ、IP のプロトコル番号など) を書く。IPv4 と TCP のヘッダはオプションなしでそれぞれ 20 バイト、UDP のヘッダは 8 バイト。

ヘルスチェックhealth check(へるすちぇっく)設計

ロードバランサなどが、一定の間隔でサーバに問い合わせて動いているかを確かめ、決めた回数続けて失敗したら振り分け先から外す機能。止まってから外れるまでの間 (間隔 × 回数ほど) の要求は失敗しうる。

ホスト部host part(ほすとぶ)ネットワーク

IP アドレスのうち、そのネットワークの中のどの端末かを表す右側の部分。ホスト部が n ビットなら、端末に付けられるアドレスは 2 の n 乗から 2 を引いた数である。全部 0 はネットワークアドレス、全部 1 はブロードキャストアドレスなので端末には付けない。

ボットネットbotnet(ぼっとねっと)守り方

マルウェアに感染して乗っ取られた多数の PC や IoT 機器 (ボット) の集まりで、指令サーバ (C&C サーバ) から一斉に操られる。DDoS 攻撃や迷惑メールの送信に使われる。初期パスワードのままの機器や更新されない機器が狙われやすい。

ポリシングpolicing(ぽりしんぐ)設計

約束した速さを超えて届いた分を、すぐに捨てる (または DSCP の印を下げる) 流量の制御。遅れは増えないがパケットが失われ、TCP は再送で速さを落とす。通信事業者が網の入口で契約の帯域を守らせるのに使う。

ポートスキャンport scan(ぽーとすきゃん)ネットワーク

相手のどのポートでサービスが待ち受けているかを調べること。TCP では、開いているポートは SYN に SYN/ACK を、閉じているポートは RST を返すので見分けられる。攻撃の下調べに使われるので、使わないサービスは止め、ファイアウォールで必要なポートだけを開ける。

ポート番号port number(ぽーとばんごう)ネットワーク

TCP・UDP で、コンピュータの中のどのアプリあてかを表す 16 ビットの番号。0〜1023 はウェルノウンポートで、HTTP は 80、HTTPS は 443、SMTP は 25、DNS は 53 番など。送信元と宛先の IP アドレスとポート番号の 4 つの組で 1 本の接続を見分ける。

ポートフォワードport forwarding(ぽーとふぉわーど)守り方

外側のアドレスの特定のポートあての通信を、内部の決まった機器とポートに転送するよう、NAT の変換を固定で設定すること。外から内部の機器に届くようになるので、その機器は公開サーバと同じく外から攻撃を受けうる。

関連: NAPTNATDMZ

ま

マイクロセグメンテーションmicro-segmentation(まいくろせぐめんてーしょん)守り方

ネットワークをシステムやワークロードごとに細かく分け、それぞれに必要な通信だけを許すこと。1 台が乗っ取られても、ほかへ広がりにくくなる。境目の守りだけでなく、内側どうしの通信 (東西方向) も制御する。

マルチキャストmulticast(まるちきゃすと)ネットワーク

1 回送るだけで、グループに参加した相手にだけ届け、必要な所でネットワークが複製する送り方。IPv4 では 224.0.0.0/4 (224〜239 で始まる) を宛先に使う。イーサネットの宛先 MAC アドレスは 01:00:5e に IP アドレスの下位 23 ビットを入れて作る。

マルチホーミングmultihoming(まるちほーみんぐ)設計

2 つ以上のプロバイダ (事業者) に同時につなぎ、一方が止まっても通信を続けられるようにする構成。BGP で自分のアドレスの経路を両方に広告する。予備回線は、同じ電柱や局舎を通らない本当に別の経路かを確かめる。

メッセージ認証コードMessage Authentication Code (MAC)(めっせーじにんしょうこーど)暗号・認証

共通の秘密鍵とメッセージから作る短い値。鍵を知る人だけが正しい値を作れるので、改ざんとなりすましを検知できる。ただし鍵は双方が持つため、どちらが作ったかを第三者に証明できず、否認防止にはならない。

メンバーシップ推論攻撃membership inference attack(めんばーしっぷすいろんこうげき)守り方

モデルの出力 (確信度など) から、ある人のデータが学習に使われたかを推測する攻撃。学習データを丸暗記したモデルほど起きやすい。確信度を返さない、丸暗記させない、大量の問い合わせを制限するなどで防ぐ。

モデル窃取model extraction (model stealing)(もでるせっしゅ)守り方

大量の問い合わせと応答から、機械学習モデルの中身や同等の機能を抜き取る攻撃 (モデル抽出)。問い合わせの量の制限、出力の情報を減らすこと、利用の監視で備える。

や

ユニークローカルアドレスUnique Local Address (ULA)(ゆにーくろーかるあどれす)設計

組織の中で使う IPv6 アドレス (ULA、fc00::/7、RFC 4193)。実際には fd00::/8 に乱数の 40 ビットの番号を付けて使い、他の組織と重なりにくい。インターネットには経路を広告しない。IPv4 のプライベートアドレスに近い役割である。

要配慮個人情報special care-required personal information(ようはいりょこじんじょうほう)守り方

人種・信条・病歴・犯罪の経歴など、不当な差別や偏見が生じないよう扱いに特に配慮が必要な個人情報。取得には原則として本人の同意が要る。漏えい等が起きたときは、人数が少なくても報告の対象になる。

横展開lateral movement(よこてんかい)守り方

侵入した 1 台の端末を足がかりに、同じネットワークの別の端末やサーバへ侵害を広げること。到達できることと侵害できることは別で、脆弱性や盗んだ認証情報などの条件が要る。パッチ・端末のファイアウォール・区域間の通信制御で抑える。

ら

ラウンドロビンround robin(らうんどろびん)設計

要求を順番に、各サーバへ 1 つずつ配る振り分け方。簡単だが、処理時間がまちまちだと重い処理が同じ台に重なることがある。そのときは今いちばん空いている台に送る最小接続の方が偏りにくい。

ランサムウェアransomware(らんさむうぇあ)守り方

データを暗号化して使えなくし、元に戻すことと引き換えに身代金を要求するマルウェア。暗号化の前に情報を持ち出し、公開すると脅す手口も多い。入口の修正、区域の分割と最小権限、検知と封じ込め、オフラインなどで守ったバックアップを組み合わせ、支払いで解決できる前提にしない。

リスクアセスメントrisk assessment(りすくあせすめんと)守り方

リスクの特定・分析・評価をまとめた一連の作業。特定で資産・脅威・脆弱性を洗い出し、分析で起こりやすさと影響を見積もり、評価でリスク基準と比べて対応の優先順位を決める。その後のリスク対応は含まない。

リスク基準risk criteria(りすくきじゅん)守り方

リスクの大きさを評価するときに比べる目安。どの大きさなら受け入れ、どこから対応が必須かを、経営層と事前に決めておく。基準の範囲内のリスクでも、リスク所有者が受け入れを承認して記録する。

リスク所有者risk owner(りすくしょゆうしゃ)守り方

リスクを管理する責任と権限を持つ人や組織。リスク対応の計画と、対応した後に残る残留リスクの受け入れを承認する。現場の担当者ではなく、判断の権限を持つ立場の人がなる。

リスク対応risk treatment(りすくたいおう)守り方

評価したリスクに対して取る選択肢。原因の活動をやめる回避、起こりやすさや影響を下げる低減、保険や委託で損失を分け合う移転 (共有)、そのまま受け入れる保有 (受容) の 4 つがある。委託しても説明責任は残り、残留リスクはリスク所有者が承認する。

リダイレクト URIRedirect URI(りだいれくとゆーあーるあい)暗号・認証

認可サーバが認可コードなどを返す、アプリの戻り先の URL。あらかじめ登録した値と完全一致で確かめないと、攻撃者の URL に認可コードやトークンを送らせる不正につながる。あわせて state や PKCE を使い、応答が自分の要求に対するものかを確かめる。

リバースプロキシreverse proxy(りばーすぷろきし)ネットワーク

サーバの前に立って、利用者からの接続を代わりに受けるサーバ。TLS をここで終端して証明書を 1 か所で管理し、後ろの複数台へ振り分けたり、キャッシュや WAF の役を持たせたりできる。サーバから見える接続元はプロキシになるので、利用者のアドレスは X-Forwarded-For などで伝える。

リフレクション攻撃reflection attack (amplification attack)(りふれくしょんこうげき)守り方

送信元を被害者のアドレスに偽って DNS・NTP などのサーバに問い合わせ、応答を被害者に送りつける攻撃。小さな問い合わせに大きな応答が返るものは増幅攻撃 (アンプ攻撃) になる。送信元の偽装対策とオープンリゾルバの解消で材料を断つ。

リンクアグリゲーションlink aggregation(りんくあぐりげーしょん)設計

複数の物理リンクを束ねて 1 本の論理リンクとして扱い、帯域と冗長性を得る技術 (IEEE 802.1AX、元は 802.3ad。束ね方の交渉は LACP)。どの線を使うかは通信ごとにアドレスなどのハッシュで決めるので、1 つの通信の速さは 1 本の線の速さを超えない。

リンクステート型link state(りんくすてーとがた)設計

各ルータが自分のリンク (線) の状態を全員に配り、全員が同じネットワークの地図を持って、それぞれ最短経路を計算する方式。代表は OSPF と IS-IS。距離ベクトル型より収束が速く、ループが起きにくいが、計算と記憶の量は多い。

リンクローカルアドレスlink-local address(りんくろーかるあどれす)設計

同じリンク (ルータを越えない範囲) の中だけで使う IPv6 アドレス。fe80::/10 で始まり、すべてのインタフェースが自動で持つ (RFC 4291)。NDP やルータとのやり取り、OSPFv3 の隣接などに使う。

リースlease(りーす)ネットワーク

DHCP でアドレスを使ってよい期間 (リース時間) を付けて貸し出すこと。クライアントは期間の 50% (T1) で貸してくれたサーバに延長を頼み、返事がなければ 87.5% (T2) でどのサーバにでも頼む。期限までに延長できなければ、そのアドレスは使えなくなる。

関連: DHCP

リーフ・スパインleaf-spine(りーふ・すぱいん)設計

サーバをつなぐリーフスイッチを、すべてのスパインスイッチにつなぐデータセンタの構成。どのリーフの間も 2 ホップで、遅れがそろう。等コストの複数経路 (ECMP) に通信を分けて流し、スパインやリーフを足すだけで広げられる。

関連: VXLANSDN

ルータrouter(るーた)ネットワーク

ネットワーク層 (第 3 層) で、パケットの宛先 IP アドレスとルーティング表から次に渡す先 (ネクストホップ) を決めて、ネットワークどうしをつなぐ機器。転送するたびに TTL を 1 減らし、フレームは隣の機器あてに付け替える。ブロードキャストは越えない。

ルーティング表routing table(るーてぃんぐひょう)ネットワーク

宛先のネットワークと、次に渡すルータ (または出力インタフェース) の組を並べた表。経路表・ルーティングテーブルとも呼ぶ。人が書く静的ルーティングと、OSPF や BGP などでルータどうしが教え合って作る動的ルーティングがある。

ルート CARoot Certificate Authority(るーとしーえー)暗号・認証

証明書チェーンの最上位にある認証局。その証明書 (ルート証明書) は自分で自分に署名した自己署名証明書で、OS やブラウザの信頼リストに最初から入っている。秘密鍵の漏えいの影響が大きいので、ふだんはオフラインで厳重に保管する。

ルートテーブルroute table(るーとてーぶる)設計

VPC のサブネットごとに付ける経路の表。ふつうのルータと同じく、いちばん長く一致する行を使う。パブリックサブネットはインターネットゲートウェイ (IGW) への行を持ち、プライベートサブネットは NAT ゲートウェイを通って外へ出るだけにする。

ルートブリッジroot bridge(るーとぶりっじ)設計

STP の木の根になるスイッチ。優先度と MAC アドレスからなるブリッジ ID が最も小さいスイッチが選ばれる。ほかのスイッチはルートブリッジまでのコストが最小のポート (ルートポート) を使い、ループになる所のポートをブロックする。意図した機器がなるよう優先度を設定しておく。

レート制限rate limiting(れーとせいげん)守り方

一定時間に受け付ける要求の数に上限を設け、異常な量だけを抑える対策。トークンバケットなどで実装し、ログインや検索など重い処理ごとにかける。人と機械を見分ける Bot 対策や WAF と組み合わせる。

漏えい等報告data breach report(ろうえいとうほうこく)守り方

個人情報保護法で報告が必要な漏えい等が起きたとき、個人情報保護委員会へ出す報告。知ってから速やかに (概ね 3〜5 日以内) 速報を出し、確報は 30 日以内、不正の目的によるおそれがある場合は 60 日以内に出す。復旧を待たずに進め、本人への通知も行う。

ロックファイルlock file(ろっくふぁいる)守り方

依存する部品の版 (と内容のハッシュ) を固定して記録するファイル。いつ作っても同じ版の部品で組み立てられ、SBOM を作る元にもなる。ただし、部品の中に別のプログラムが含まれている場合など、載らない部品もある。

ロードバランサload balancer(ろーどばらんさ)設計

利用者からの接続を 1 つの仮想 IP アドレスで受け、後ろの複数のサーバに振り分ける機器。台数を増やして処理量を広げ、止まった台を外して続ける。振り分けはラウンドロビン、最小接続 (今いちばん接続の少ない台へ) などで決める。

ローミングroaming(ろーみんぐ)設計

移動する端末が、つないでいる AP から電波の強い別の AP へ切り替えること。移るかどうかは多くの場合、端末が決める。移るたびに認証をやり直すと通話などが途切れるので、IEEE 802.11r (高速 BSS 遷移) などで速くする。AP の電波の範囲は少し重ねて置く。

関連: DFSOFDMA

わ

ワンタイムパスワードOne-Time Password (OTP)(わんたいむぱすわーど)暗号・認証

一度しか使えない使い捨てのパスワード。スマホのアプリで使う TOTP (RFC 6238) は、共有した秘密と現在時刻から、ふつう 30 秒ごとに変わる数字を作る。偽サイトに入力させてすぐ本物で使う中継型のフィッシングは防げない。

ワームworm(わーむ)守り方

ほかのプログラムに寄生せず、ネットワークを通じて自分で別の端末へ広がるマルウェア。人の操作を待たずに広がるので被害が速い。修正の適用、不要なサービスの停止、区画の分割で広がりを止める。WannaCry はこの性質を持つランサムウェアだった。